瓦版 第10号 「蛍光タンパクをギラギラにするにはどうすればいいの?」

今回は蛍光タンパクの光らせ方やその材料についての話でした。

蛍光タンパクの光り方

瓦版上段の部分は蛍光タンパクの光り方について、CFPを例に解説されています。その原理は解説を読めば一目瞭然ですね。特にCFPの場合は最も蛍光効率が良い波長は400nm~430nmとなり、ここを刺激してやらないのは勿体ないですし、刺激しないとCFPが衰退する恐れもあります。

基本的には各蛍光タンパクの蛍光効率が良い波長を当てる事が、その蛍光タンパクを維持~増幅させるコツとなります🙆‍♂️ 中でもBFPやCFPの励起波長は400nm~430nmの紫外線付近の波長で、市販の照明では不足しがちです。ご自身の使用されている照明のスペクトルを確認しておく事が大事で、 足りない場合はVital Wave Ⅱなどで補完すると良いです🙆‍♂️

蛍光タンパクの組成

中段以降の内容はかなりマニアックですね💦 なんと蛍光タンパクのアミノ酸配列が記載され、これに対して考察されてます😵 少し難しいところもあるので、分からないところは調べつつ読み解いてみました🤔

タンパク質

まず予備知識として、タンパク質とはアミノ酸を材料として合成された物質で、生物を構成する大事な成分です。生物自体を作る材料や生命活動を支える酵素など数多くの役割を持ちます。蛍光タンパクも同じくアミノ酸から構成されるタンパク質の一つで、瓦版で示されているのは恐らく最も代表的なGFPであるオワンクラゲのGFPのアミノ酸配列ではないかと思います。

発光団

蛍光タンパクの場合には、その蛍光色を決定する『鍵』となるアミノ酸配列があり、これを発光団と呼ぶようです。人為的にこの部分を変換する事でより強い蛍光にしたり、違う色にしたりなどが可能で、実は医学領域でも蛍光タンパクは活用される事が多々あります。ちなみに、色素タンパクの場合は発色団と呼ぶようです。

材料となるアミノ酸

アミノ酸は数多くの種類が存在しますが、サンゴの蛍光タンパクを構成するアミノ酸は人と同じ20種類のアミノ酸から構成されます。人の場合はこのうち9種類は自身で合成出来ず、もっぱら摂取が必要となります。それに比べてサンゴの場合、例えば一部のミドリイシでは19種類が合成可能で、共生する褐虫藻に至っては全種類を合成出来るようです。また、瓦版によると褐虫藻の生成するアミノ酸はサンゴへ供給されるようですね😲 供給されるのは糖分などの炭素化合物が主体だと思っていましたが、ますます素晴らしい共生関係です✨ こうなると、褐虫藻が十分に光合成をしていれば、必要なアミノ酸は全て褐虫藻が供給出来るという事になります。

ただし、例えば人間は自身で合成できるアミノ酸は摂取しないような事はしませんし、摂取したらそれはそれで利用します。サンゴも褐虫藻の光合成だけに頼らず夜間はプランクトンを摂取しており、これはエネルギー源やアミノ酸などを得るためだと考えられます。加えて、アミノ酸は単独でも別の生理的作用を持ち、サンゴに限らず水槽に存在する全ての生体もアミノ酸を材料として要求します。こういったことを背景に、アミノ酸添加剤なども存在するのだと思いますが、基本的には何がどれだけ必要かは計り知れないのが難しいところです🌀

今回の内容では、褐虫藻がアミノ酸をサンゴに提供してくれている事を学びました。また、別の研究では、褐虫藻と共生することで、サンゴ自身の代謝が促進されるといったことも言われています。そんな褐虫藻がサンゴから抜けてしまう事が、サンゴにとっていかに大きな問題かという事は、今回の瓦版でもよく分かりますね🤔

話が難しくなりましたが、蛍光タンパクをギラギラさせるためには、第8号の瓦版紹介でも記載した、

  • 蛍光タンパクが必要となる光環境を維持する
  • 蛍光タンパクを作るための材料を適切に提供する
  • 蛍光タンパクを作るサンゴ自体の状態を安定化させる

以上の項目がやはり重要なようです。加えて、今回の内容から二番目の「材料を適切に提供する」という項目については、サンゴと褐虫藻が最も優秀なバランサーであると考え、あくまで補助的に提供する形で良いと感じました。光に比べて各項目の測定はほぼ出来ないですし、測定できたところで、何がどれだけ必要かは正直分かりません💦 不要なものは使わないにしても、それらは水を汚す原因にもなります。光のように提供量を完全に飼育者が制御しているわけではない(生体はアミノ酸を合成できる)のであれば、そこに生きる生体にある程度の主導権を委ねた方がより安定するのではと考えます🤔