マリンアクアリウムのガイドライン🔰

皆様お疲れ様です🌱

raikaです。

当サイトでは主に我が家のマリンアクアリウムの様子を中心に紹介していますが、ここでは未経験、初心者の方々向けに、マリンアクアリウムについての基礎的な事を私の分かる範囲でお伝えしていこうと思います。「マリンアクアリウムを始めてみたけどよく分からない😵」、「そもそも始め方すら分からない😵」といった方の参考になれば嬉しいです😊

このページでは「海水魚飼育」や「サンゴ飼育」の始め方を、水槽の立ち上げから初回の生体導入とその後の基本的なメンテナンスと順を追ってまとめようと思います。

前置き🙏

自身の身近な人がマリンアクアリウムを始めたとして、私ならこう教えるといったスタンスで記載しています。マリンアクアリウムにおける飼育法は様々です。あくまで参考までにしていただき、最終的には読者ご自身で吟味した上で飼育に取り入れていただければ幸いです🙏

マリンアクアリウム

水槽を用いた飼育には様々なスタイルがあります。最も代表的なものは水中に住む生物の飼育を楽しむ「アクアリウム」ではないかと思います。その他にも、作り上げる環境によっては、「テラリウム」「アクアテラリウム」「パルダリウム」など多くのスタイルがあります。

趣味として「アクアリウム」を楽しまれる方は沢山いらっしゃいますが、中でも最も多いのは淡水魚や水草などを飼育するスタイルではないかと思います。街のホームセンターでペットコーナーなどを覗いてみると、最も品揃えが豊富だと思います。ただし、ここでご紹介している「マリンアクアリウム」は海に住んでいる生物の飼育や鑑賞を楽しむスタイルです。海に住む生物と言っても多種多様に存在しますが、中でも海水魚やサンゴ、甲殻類などを飼育する場合が多いかと思います。

海に住む生き物たちは色とりどりで美しく魅力的です。飼育は決して簡単とは言えませんが、そこを試行錯誤していく楽しさもあります。つまづく事や困る事も多いとは思いますが、せっかく興味を持たれたこの素晴らしい世界、少しでもお手伝いできれば幸いです🌱

raika
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一緒にマリンアクアリウムを楽しみましょう😊

まず初めに行う事

マリンアクアリウムを始めるきっかけには色々あると思います。私の場合は、ダイビングを始めた事をきっかけに海の世界に魅了され、自宅でも楽しみたい思いから始めました。他にも、映画をきっかけに…、子供の要望で飼育したらいつの間にか自分がハマって…、等々いろんな理由を耳にします🦻

きっかけは色々あると思いますが…

まずはようこそマリアクアリウムの世界へ‼️

本当に美しく楽しい世界なので一緒に楽しみましょう😊

でも、始めると決めても何から手をつけていいか分かりませんよね💦 ここではまず初めにやっていくことをお伝えしていこうと思います✍️

初めにイメージ作り

何はともあれ一番最初はどんなアクアリウムにしていきたいかイメージを作っておくことが大切です。マリンアクアリウムと一言で言っても色んなタイプがあり、それによって必要な環境作り、必要な機材が異なる場合もあります。場合によっては水槽や機材の買い替えなんて事も発生してしまいます💦

雑誌やネットに掲載されているアクアリウムの写真を沢山見て、イメージを膨らませると良いかと思います😊

マリンアクアリウムの雑誌だと、『マリンアクアリスト』、『コーラルフリークス』さんがあり、参考になると思います。また、ダイビングの雑誌なども参考になると思います💡

イメージが固まってきたら、次に具体的なところも考えていきます🤔

主役となる生体は何なのか?どの生体をどの程度の割合で含めるのか?サンゴを入れるならはどんな種類を入れるのか?ざっくりでも良いので、ご自身のイメージを作っていきましょう。その際にポイントとなるのは以下の点かと思います。

  • 何を飼育するのか?
  • 規模はどうするのか?

何を飼育するのか🤔

何を飼育するかは大事なポイントで、これによって揃える道具や飼育環境が結構変わります。代表的な生体は海水魚とサンゴではないかと思いますが、他にもサメやエイなど大型魚種、タツノオトシゴなども飼育法が異なってきます。

海水魚の場合、サンゴや他の魚と相性の悪いものがあったりしますし、サンゴの場合はソフトコーラル、ハードコーラル、ハードコーラルの中でもLPSやSPSで飼育環境に差があります。これらの生体の事をある程度把握した上で、どの生体をメインにやっていきたいかをある程度決めておく事は大事かなと思います。もちろん、最初のイメージが変わることは当然あるので、その際は随時機材などを追加/変更すれば対応は可能です🙆‍♂️

メモ✍️ ~サンゴの種類~

サンゴにはカルシウムの骨格を作らないソフトコーラルカルシウムの骨格を作るハードコーラルが存在します。一般的にソフトコーラルの方が必要な飼育水の清浄度は低く、管理は簡単です。また、骨格を作らないので、Ca、Mg、KHを管理する必要性も高くありません。一方ハードコーラルはその逆で、清浄度は高く、Ca、Mg、KHなどの管理が必要となります。

ハードコーラルはポリプの大きさでSPS(small-polyped stony)とLPS(large-polyped stony)とにさらに分かれます。一般的に、SPSの方が成長が早くCaなどの消費が激しく、求められる水の清浄度も高いと言えます。

加えて、飼育に光が必要か否かで好日性と陰日性といった分類もあります。

ざっくりですが、必要となる水の清浄度は、海水魚とソフトコーラル < LPS < SPSとなり、ハードコーラルになるとCa、Mg、KH等の管理が必要になります。

どの程度の規模でやるか🤔

飼育する生体がある程度決まれば、次はどの程度の規模で楽しむかを決めます。要は水槽のサイズや本数です。

水槽を置く場所や、その場所の耐荷重などにも影響します。

一般に大きければ大きいほど水槽環境は安定し、多くの生体を飼育することが可能となります。ただし、維持費は上がります。120㎝水槽を超えてくると、日々のメンテナンスもそれなりに負担となってきます。

小さい水槽は安定しにくい反面、維持費は少なく、メンテナンスの負担は少ないです。

こ自宅で飼育するのであれば、60㎝〜90㎝くらいが個人的にはバランスが良いのかなと思います。初めは小さく始めて様子を見るのも良いとは思いますが、次の小さい水槽から大きな水槽へ移行する際にはコストがかかりますので、特によく検討した方が良いかと思います。

準備するもの

raika
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どんな水槽を作るかイメージがある程度固まりましたでしょうか?

イメージが出来れば、いよいよ形にしていきましょう♪

機材選びはなかなか大変ですが、何事も事始めは楽しいものです😊 少しでも参考になれるように、種類に分けてご説明していきます。

マリンアクアリウムは私のブログの題名にもあるように、自分の理想とする海の世界を創ることと同義だと思っています。海を再現するためには以下の要素が必要不可欠です。

  • 水質
  • 太陽
  • 潮流
  • レイアウト
  • 生体

各項目に分けてそれぞれの機材や材料をご紹介していきます。

水質を創るために必要なもの

水質とは『飼育水の質』であり、我々で言えば空気の状態のようなものです。飼育水は基本的に人工海水と呼ばれる粉を溶かして作りますが、生体が利用したり、排泄物が混ざったり、様々な影響で変化します。これを至適に保つ事が必要となります。

海水

何はともあれこれがないと始まりません。アクアリウムで使用する海水は、コストの関係から人工海水を使用することが基本となります。

初めてアクアリウムをされる方にとっては、「塩を混ぜれば良いんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、それは違います。海には塩以外にもカルシウムやマグネシウムなどをはじめ、多くの元素が溶け込んでおり、これらが海に生きる生体の活動に必要になるのです。

以下の記事で海水の成分について記載していますので、参考になるかと思います👇

各社から人工海水が販売されています。製法や製造元などによって値段差があり、最初は選ぶのも難しいと思います。特にSPSと呼ばれるサンゴを飼育する場合はこだわりが出てくる要素ではあります。また、安価なものはロットによって成分にばらつきが出る可能性が通常よりも高いという話を聞いたこともあります。人工海水を使うたびに水質が変化するのは生体にとって悪影響ですので、少なくともしっかりと流通した信頼のある商品を使う方が無難です。私が使用したもので、標準的かなと思うものをご紹介しておきます。

DELPHISは兵庫県伊丹市に本社がある国産のアクアリウム用品メーカーです。どんな生体でも使える品質というコンセプトから、種類も1種類に限定されています。国産品ですので一定の品質が保証されているのは安心です。また、水道水から作成する場合に別途でカルキ抜きをしなくてよいので、その点も便利かと思います。

イスラエル発祥の世界的ブランド、Red Seaの販売するスタンダードな人工海水です。世界的に有名なアクアリウム用品メーカーである為、その信頼性も高いかと思います。

コストの関係で基本は人工海水となりますが、アクアリウム用の天然海水も販売されています。天然海水には人工海水には含まれない有機成分やバクテリア等も含まれており、より自然に近く生体に優しいです。入手の難易度やコストの問題から、水槽の立ち上げの時、調子を崩した時など、要所で使うのにオススメです。

比重計/海水塩分測定器

比重計や塩分測定器は、飼育水中に溶け込んでいる塩類の総量を測定する為に利用します。人工海水から海水を作る際や、普段の水質チェックに必須の器材です。

比重計と海水塩分測定器は、どちらでも塩類の測定は可能ですが各々に特徴があります。前者は手頃な価格帯のものも多い反面、そういうものは誤差が多いです。温度変化で計測値が変化しやすい事も要注意です。後者はリフレクトメーターやデジタル計が主体で、コストはかかりますが精密です。測定器材が手頃な事もあって、最初は特に比重測定をされる方が多いと思いますが、個人的にはリフレクトメーターなどのきちんとした塩分測定器を初回に購入しておいた方が、結果的には損をしないと思います。以下に代表的な器材を紹介します。

アナログ比重計は安くて使用が簡便である事が最大のメリットかと思います。このタイプの機材はプラスチックの容器に特殊な錘が入っており、この錘にかかる浮力を利用して比重を測定していると思います(多分💦)。なので、中に入っている錘に気泡、苔、ゴミ、塩の塊などが付着していると、浮力が変化してしまい正確に測定できなくなります。また、経年的な劣化や、個々の商品間での誤差も比較的大きく校正もできません。精度や耐用に不安があるので、複数台使用したり、定期的な交換が推奨されます。

デジタル計の利点は素早く簡便に正確な値が測定できる事だと思います。このタイプのものも各社から製品がありますが、比重、塩分、温度を同時に測定できる優れたものもあります。デメリットは機材自体がやや高価で、電池や校正液など、わずかだと思いますがランニングコストが発生する事、加えて、精密機器なので故障のリスクも少し高いのではと思います。

 リフレクトメーターは光の屈折を利用して塩分を測定する器材です。測定結果は正確で、物自体は非常に頑丈で長持ちします。使用方法も比較的簡単です。デメリットとしては初期購入費用が高い事かと思います。ただし、長く使える事を考えればコストパフォーマンスは悪くないと思います。

ご紹介した器材はRedseaの製品で、私も愛用しています。マリンアクアリウム用に特化した設計となっているのが一番の強みです🙆‍♂️ この為、目盛りもマリンアクアリウムで必要な範囲で大きく表示され、測定結果は25℃での数値が表示されますATC(自動温度補正機能)がついており、海水を測定する為に校正されています。

注意⚠️

塩分測定は海水測定用のものを使用する必要があります。一般的な塩分濃度計の場合、純粋にNaClのみを測定する前提で調整されており、それ以外にも多様な元素の溶け込んだ海水を測定する際に、これを考慮した設計でなければ測定結果に誤差が出ます⚠️

比重計や塩分測定器は以下の記事でさらに詳細に紹介しています👇

水質検査キット

水質検査キットも必須項目です。

raika
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飼育する生体によって必要度は異なりますので順にご説明しますね。

主要栄養塩

何を飼育するにしても必ず測定すべきものが『栄養塩』です。栄養塩(えいようえん)とは、生物が生命活動を行うために必要な物質(詳しくは塩類)のことです。ここではまずその存在を認識してもらえれば十分です。その中でも主要となるものが『硝酸塩』と『リン酸塩』の2つです。加えて、水槽立ち上げの段階では硝酸塩の前段階である『亜硝酸塩』と『アンモニア』も重要です。これらは飼育する生体の餌や排泄物などから発生し、微細な生命が活動する為の糧となります。水槽内で常に循環する存在ですが、過剰に存在すれば飼育する生体にとって毒にもなります。このため、これらの数値は定期的に測定し、その推移を把握かつコントロールする必要があります。その為にまず必要なものが検査キットです。各社から様々なキットが販売されていますが、どんな生体を飼育する事になっても対応出来る、ある程度の精度のある汎用性が高いものが良いかと思います。私が初期から愛用しているものはこちらです👇

多くのユーザーが使用しており安心感があり、測定手技も難しくありません。定期的に測定が必要な硝酸塩やKHなどをはじめ、立ち上げ時に必要になるアンモニア、亜硝酸塩も測定できる便利なセットです。リン酸塩に関しては含まれていませんので、私は同じRedseaのキットを使用しています👇

また、国産メーカーであるHANNAからはデジタル測定器が販売されています。アナログの測定器よりコストはかかりますが、正確性や簡便性で勝るかと思います。硝酸塩とリン酸塩に関しては各々測定範囲の異なる機種がありますので、スタイルに合った検査キットを持っておくと良いです。

硝酸塩は低濃度域用と高濃度域用が販売されています。上は高濃度域用ですが、基本的にはこちらを選択すれば良いかと思います。

リン酸塩には低濃度域用と超低濃度域用、加えて換算が必要ですがリンを測定する3機種があります。

HANNAのリン酸塩チェッカーは飼育する生体によって最適な機種が異なるかと思いますので、最初に買うならよくよく考えてからのほうが良いかと思います。

栄養塩に関してさらに詳細に知りたい方はこちらの記事も参考になるかと思います👇

pHとKH

pHは溶液に含まれる水素イオンの濃度を表す指数です。海水環境では概ね8.1前後で保たれています。水槽内に存在する生体やイオン、空気中の二酸化炭素などで変動しますが、後述するKHなどによる緩衝作用があり、自動的にある程度の数値でバランスが保たれています。ただし、立ち上げ当初はバランスも崩れやすいので把握しておいて悪いことはありません。pH測定キットも先ほどのRed Seaの検査キットセット👇に含まれていますし、もちろん個別で準備しても構いません。

pHに関しては下記の記事でより詳細にご説明していますので、よければ参考にしてみて下さい👇

KHとは水中に含有されるCaイオンとMgイオンのうち、その由来が炭酸塩や重炭酸塩(炭酸水素塩)に限定したものを指し、『炭酸塩硬度』とも呼ばれます。水中でこれらの塩は溶けてCaイオン、Mgイオン、炭酸イオン(CO₃²¯)、重炭酸イオン(HCO₃¯)として存在しますので、炭酸塩硬度は炭酸イオンと重炭酸イオンの総量から推定値として算出されます。

本来はCaイオンとMgイオンの総量を表すものですが、マリンアクアリウムでこの数値に求められているのは炭酸イオンと重炭酸イオンの総量の把握です。炭酸イオンや重炭酸イオンには、ここでは詳細は伏せますが、pHの緩衝作用やサンゴの骨格形成に非常に大きな役割を果たしてくれます。変動も比較的あるため、定期的な測定は重要です。特にSPSと呼ばれるサンゴの場合は骨格形成を活発に行うので、変動が激しく要注意です。

測定キットは豊富に存在し、自動で測定しモニタリングできるような機材もあります。アクアリウム開始初期からそこまで準備する必要はありませんが、簡易の検査キットは常備しておくと良いです。こちらもRedSeaの検査キットセット👇に入っています。

KHに関しては下記の記事でより詳細にご説明していますので、よければ参考にしてみて下さい👇

主要元素

海水中に溶け込んでいる成分で、特に生体に関連する元素を測定します。代表的なものは「カルシウム」「マグネシウム」です。これらの数値は特にサンゴ飼育を行う場合に重要な項目となりますので、海水魚だけ飼育される場合は必ずしも常備する必要はないかと思います。

逆に、サンゴのうちSPSやLPSなどのハードコーラルと呼ばれる類のサンゴを飼育する場合は必須の項目になるので、それらの検査キットは常備しておくと良いです。定番はやはりRedSeaです。

こちらのキットセットは「カルシウム」と「マグネシウム」に加え「KH」の検査キットも入っています。「KH」は前述のマリンケアテストキットにも入っており被りますが、ハードコーラルを飼育する場合は「KH」は最も頻回に測定した方が良いので、無駄にはならないと思います。

「カルシウム」と「マグネシウム」に関しては以下の記事で詳細に書いています👇

水温関連

マリンアクアリウムでは温度管理も必須で、「水温計」「ヒーター」「クーラー」を用いて概ね24〜25度前後で厳密に管理します。川に比べて海は水量も多く、水温はかなり安定しています。このため、海の生き物は水温の変化に弱いです。特にサンゴは地球温暖化による白化現象でも有名ですが、高水温に非常に弱いです。初夏から秋にかけては特にサンゴ飼育ではクーラーは必須となります。

まず初めにクーラーですが、こちらはとても高価な機材になります💦 アクアリウムを始めるにあたって、最初の障壁にもなり得る存在です。このため、クーラーに関しては、初年度は部屋のクーラーを点けっぱなしにして乗り切り様子を見る方法もありかなと思います。それでアクアリウムを続けたいと思えた場合は、あらためてクーラーを購入しても遅くはないと思います。

アクアリウム用のクーラーと言えば、現状はゼンスイのクーラーほぼ一択になるかと思います。水槽サイズに応じて各種取り揃えられているので、ご自身の水槽サイズと照らし合わせて選択すると良いです。対応サイズは一般的に、使用している水槽容量の3倍〜5倍を選ぶと良いとされています。例えば、水槽の容量が250Lならば、750L〜1250Lに対応したモデルを選ぶ、といった感じです。

私が使用しているクーラーはTECOのTK1000と呼ばれるモデルで、水温計、ヒーター、クーラーの全てが内蔵されたものです。現在はゼンスイが代理販売されています。

TKシリーズのようにオールインワンは電源数の節約や機能面で非常に便利ですが、どれか一つの機能が故障して修理などになってしまうと、他の機能も同時に使えなくなるのでリスクは高いです。各機能を個別に用意するか、オールインワンでいくかは検討する必要があります。

ヒーターはクーラーに比べるとかなり手頃な価格となりますが、こちらも必須の機材です。水を温めるヒーター部分と水温により通電を制御し水温管理するサーモスタット部分から構成されます。この二つが一体化したものや別々に販売されているもの等、複数のタイプがあります。それぞれに長所短所がありますので、ご自身のニーズに合ったものを選ぶと良いです👌

注意⚠️

個別に買う場合、サーモスタットにはヒーターの対応ワット数が設定されていますので、購入時に間違えないように注意が必要です⚠️

概ねの目安としては水量100Lに対して200W必要と言われています。出力を選ぶ際に参考にしていただければと思います。

我が家では、メイン水槽はTK1000が温めてくれるので、ヒーターは新しい海水を温める際などに利用しています。

水温計はアナログとデジタルの2種類があります。ヒーターやクーラーにも内蔵されていることがあるので、省略する事も可能ですが、ダブルチェックの意味合いで何か一つは設置しておいても良いかと思います。

バクテリア剤と濾剤

バクテリアは水質、特にアンモニアや栄養塩をコントロールする為に必須の要素であり、飼育水清浄化の要となります。バクテリアがどのような機序で栄養塩に関わるかは下記の記事を参考にしてください👇

特に水槽立ち上げの際は、このバクテリアが主役と言っても過言ではないです。一定のバクテリアが水槽内に生着し、飼育生体の出す排泄物などを生物的に十分濾過できるようになって初めて『水が立ち上がった』と判断できます。バクテリアの補充はいくつかの方法で可能です。最も直接的なものはバクテリア剤です。各社から多種多様に販売されていますが、内容の詳細は不鮮明であり、商品の優劣ははっきりしません😓 このため、私が実際に使って手応えが良かったり、諸先輩型が愛用されているものをご紹介します。

始めにご紹介するのはseachemのバクテリア剤です。前者が食べ残しやデトリタスを分解するバクテリアがブレンドされており、後者はアンモニアや硝酸塩を分解するバクテリアがブレンドされています。使用により水が清澄になったとの声をよく聞きます。

もう一つご紹介するのはハンナから販売されている国産のバクテリ剤です。こちらの商品はバクテリア剤としてだけではなく、スキマーと併用することによって有機物やフミン酸のような不要物を吸着除去してくれる効果もあります。

他にもバクテリアは天然海水やライブロック、ライブサンドからも補充が可能です。特に立ち上げや、水槽の調子が崩れた時などに有効となる場合も多いです。

浄水器/カルキ抜き

浄水器は海水を作る際にオプションとして使用するもので、人工海水を溶かす水道水の純度を上げるために用います。水道水には、地域差もありますが海水として利用するには不都合なものも幾分かは含まれています。その影響で、苔の繁殖が助長されたり、サンゴに悪影響が出たりします。飼育環境によっては必須ではありませんが、浄水器を使用すればこういった要素を取り除く事が可能です。目的を果たす為には飲用水用の浄水器では役不足であり、逆浸透圧(RO水)や脱イオン(DI水)など特殊な膜を用いた浄水器が必要となります。私が使用しているものは両方の浄化を利用してRO/DI水を作ることが出来るものです👇

二つの代表的な浄水機能を利用するので、出来上がる水は限りなく純粋に近いものが出来ます。その代わりに精製スピードは遅く、捨て水が発生するのが欠点です。最近は精製スピードを重視してDIだけを用いる浄水器もいくつか発売されているので、その辺りも選択肢になるかなと思います。

ちなみに浄水器は必須ではありませんが、水道水に含まれる塩素は生体に悪影響を及ぼすので除去しておかないといけません。何らかのカルキ抜きは準備するようにしましょう🙆‍♂️

濾過器

飼育水は餌や生体の排泄物などで徐々に汚れます。これに対して様々な方法で濾過を行うことで水を浄化し、飼育水が綺麗な状態を保つことが必要です。濾過には生物濾過、物理濾過、化学濾過などがあり、これらを組み合わせて利用します。

濾過についてはこちらで詳しくまとめています👇

ここでは代表的な濾過機をご紹介していきます。

こちらはプロテインスキマーと呼ばれる濾過機です。濾過としては物理濾過の一種で、細かな泡を大量に発生させ、その泡で水中に含まれるタンパク質(有機物や食べ残しなど)を絡め取り、水中外のカップに集めます。濾過機としてはかなり高性能な機材であり、清澄な海水を作るためには必須級です。

次は濾過フィルターです。これは水をフィルターが設置された本体に引き込み、濾過した上で水槽に戻します。フィルターで物理的にゴミを取ったり、ろ材にバクテリアを住まわせて生物濾過をしたり、吸着剤を入れて化学濾過したりと汎用性は高いです。ただし、プロテインスキマーほどの強力な濾過作用はありませんので、海水魚やソフトコーラルの飼育は可能ですが、ハードコーラルなどのサンゴ飼育には力不足が否めないです。

カルシウムリアクター/添加剤

カルシウムリアクターは文字通り、カルシウムを生産し飼育水中に供給する機材です。カルシウム以外にマグネシウムやKHを安定させる効果も非常に高いです。この機材はカルシウムやKHを大量に消費するSPSと呼ばれるサンゴを多く含んだ水槽に必要となります。機材として場所を取ったりイニシャルコストも高いので、各種添加剤で代用する事も可能です。

太陽を創るために必要なもの

どんな生体にも共通しますが、太陽の存在は重要です。マリンアクアリウムにおいては、特にサンゴ飼育で光の存在は必須項目となります。単に死活問題であるだけでなく、その美しさを引き出すためにも重要な要素にもなります。

照明

前述したように光はマリンアクアリウムで重要な役割を担っていますが、その意味合いは飼育する生体によって異なります。魚や甲殻類などの生体にとっては、昼夜のリズムをつけたり鑑賞性を高める目的が主体となります。一方サンゴにとっては、光合成に必須で、サンゴの持つ色素や蛍光蛋白の発現に関わる要素となります。この為、飼育する生体に応じた照明選びが必要となります。

サンゴを飼育するつもりはないよという方には、サイズ、操作性、色味などから好みの照明を選ぶと良いかと思います。難しいのはサンゴ飼育用照明です。サンゴ飼育になると、水中での太陽光波長を再現したり、サンゴの色に効果のある波長をどのように組み合わせるかなど、照明に求められる事が格段に上がります。そして当然お値段も跳ね上がります💦 詳細は当サイトの別コーナー👇にて詳しく解説していますので、気になる方は読んでみてください。

ただし、初心者の方がサンゴと光の関係を理解してから照明を購入するのは正直大変かと思いますので、私個人的に失敗のないと感じる照明をご紹介します。

個人的に最もオススメ出来るものは『SPECTRA SP200』です。

国内ではトップクラスに人気のある照明で、サンゴ飼育における有効性は折り紙付きです。有効性は当然なのですが、ここで特にオススメしたい点は初心者にも非常に分かりやすい操作性です。こういった太陽光を模した照明(フルスペクトル照明)の操作はアプリで操作する商品が多いですが、SPECTRAのアプリは直感的な操作が可能で、設定が非常に楽です。さらにこの照明の設計者:明林永二氏は筋金入りのアクアリストであり、SNS等を通じてSPECTRAについてだけでなく飼育についても非常に気さくに相談にのって下さります。商品サポートとして他の商品を圧倒するものだと思います。

難点は、この手の照明全体として非常に高額です。また、SPECTRAに関してはサイズが1タイプしかありませんので、45cm幅以下の水槽に対してはオーバースペックとなり勿体ないです。

もう1つオススメするとすれば☝️のRadionです。こちらはアメリカのEcotech Marine社が販売するフルスペクトル照明で、世界的に使用されています。アップデートが定期的に成されており、世代を重ねる毎にきちんと改善され、将来性のある照明と言えます。照明サイズや波長構成にバリエーションがある為、汎用性も高いと言えます。難点はSPECTRA同様に価格面ですが、こちらの方が若干安いです。ただし、アプリの使いやすさはSPECTRAに劣っていると感じます。

潮流を創るために必要なもの

マリンアクアリウムでは潮流を再現することも大切です。水槽の中でしっかりと水を動かし循環させることによって、水質の清浄化、生体の健康維持などに寄与します。

メインポンプ

メインポンプはオーバフロー水槽の心臓部分に当たる機材です。濾過槽とメイン水槽の水を循環させ、メイン水槽内にある程度の流れも作ってくれます。

ポンプの種類は大きく3つに分類され、『マグネットポンプ』『ACポンプ』『DCポンプ』となります。それぞれに特性があり、好みのポンプを選ぶ必要があります。

・マグネットポンプ

非常に頑丈で壊れにくく、高出力も出せるポンプです。ただし、作動音が大きいのが欠点です。また、設置は水槽外になるので、場所を取ってしまうのも難点と言えます。

・水中ACポンプ

マグネットポンプほどの頑丈さは無いものの、音はその分控えめです。価格が手頃なのも良い点かと思います。

・水中DCポンプ

こちらは静音性に非常に優れたポンプです。また、流量をコントローラーで何段階か調整する事も可能となります。難点はコントローラーやACアダプターが付属になる為かさばります。故障のリスクが増える事もありますが、良質なものを選べばリスクは軽減可能です。

水槽が大容量の場合はマグネットポンプ一択になる場合もありますが、ホビーレベルの水槽なら大抵は好きなものを選べます。個人的には、設置が簡単で静音性、操作性に優れたDCポンプがオススメです。

こちらは私が使用している水中DCポンプです。非常に静かで、2年つけっぱなしでも壊れる様子はありません。

ポンプの出力は、一般には水槽容量を目安に決めていきます。およそ1時間で水槽容量の6倍以上の流量が必要とされます。ポンプの性能は高さが同じで配管抵抗も無い前提で記載されています。この為、実際の使用ではかなりの損失が想定され、おおよそですが60%~80%程度は本来の機能より下がると考えた方が無難です。私の場合、水槽容量は約400Lなので、5回転させるとなると2000L/時必要です。60%機能が落ちると考えると、本来の40%の力で2000L/時となるので、表記上は5000L/時のパワーが最低限必要となります。

水流ポンプ

潮流は川の流れとは異なり、多彩でランダムです。これを再現する為にはメインポンプから吐出される一定した水流だけでは役不足です。この為、流れを作るためだけのポンプが必要になります。

このタイプのポンプは大きく二つの型に分かれます。扇風機のようなプロペラが回って水流を起こすタイプ(仮にサーキュレーター型)筒状のプロペラが回って水流を起こすタイプ(仮にバー型)です。

サーキュレーター型は設置した前方に広く放射状の流れを作るのに適しています。周期的に作動させる事によって本物の波のような流れを再現する事も可能です。広範囲の流れを作るのに向いた水流ポンプと言えます。

こちらは私が使用しているサーキュレーター型の水流ポンプで、ZOOXが販売する『Leviathan』です。高価ではありますが、120cm水槽でもこれ一つでしっかりとした波を作ってくれます。逆に小さな水槽には強過ぎて不向きだと思われます💦 作れる流れのタイプも多様で、満足度の高いポンプです。

バー型は設置した前方に、バーの長さ分の直線的な流れを作るのが得意なポンプです。これを利用して、両サイドからバー型の水流をぶつけてやる事で、ダウンストリームを作る事も可能です。狙った場所に流れを作る事が出来るのは利点かと思います。

こちらは私が使用しているバー型の水流ポンプで、Redseaが販売する『ReefWave』です。こちらの商品は出力が2タイプあるので、使える水槽サイズの幅は広がります。『Leviathan』と同様に波のカスタマイズの自由度が多いです。また、アプリでも操作が可能なのも良い点です。

私の場合は、全体をLeviathanで揺らしつつ、強い波が必要な生体の場所にReefWaveで波の強化を行うといった使い方をしています。飼育している生体に応じて組み合わせると良いかと思います。

レイアウトに必要なもの

マリンアクアリウムは飼育の楽しみと共に鑑賞する事も大きな醍醐味です。水景を美しく見せる為には、箱となる水槽、海らしさを表現する岩や砂などにもこだわると良いです👍

水槽

当たり前ですが、アクアリウムは水槽がないと始まりません。一般的に水槽と言えば、長方形や球状のものなどシンプルな構造のものを思い浮かべる事かと思います。ただし、マリンアクアリウムではオーバフロー水槽と呼ばれるものがよく利用されています。これはメインとなる水槽の他に水を浄化したりする事を目的とした濾過槽を組み合わせたものです。ここまで紹介してきたように、マリンアクアリウムでは水槽内に設置する機材が非常に多いです。全てをメイン水槽に繋げると不格好ですし、管理も大変です。機材によっては、そもそもオーバフローでないと設置出来ないものもあります。一般的な水槽で飼育する事も出来なくはないですが、飼育環境やメンテナンス性の向上の為にもオーバフロー水槽をオススメします。

底砂

底に敷く砂はレイアウトとして重要な要素である以外にも色々な働きがあります。バクテリアや動物性プランクトンの住処となり、結果的にろ材として働いてくれたり、魚やエビの住処にもなります

扱い方によってはゴミが溜まったり硫化水素などの有毒な物質が出たりすることもあるので、全く使わないというスタイルもあります。

商品にっては上記のようなバクテリアが既に生着したようなものもあります。素早い立ち上げを狙うのには良い商品で、私も使用しています。粒の大きさ、材質によって色んな種類があります。

岩は砂と同じく自然の海を表現する為に大事な要素です。また、岩には魚の隠れ家、微生物の住処、サンゴの土台などとしても重要であり、砂のように使わないという選択肢は飼育する上で難しいと思います。

岩は大きく「ライブロック」「人工ライブロック」に分類して考えると良いかと思います。前者は文字通り生きた岩であり、岩を微生物豊かな海水中で養生したのものです。岩そのものが多様な生物の集合体であり、これを用いることで生物濾過を中心とした様々な恩恵が得られます。また生物が作る自然の造形が美しいです。欠点としては望まない有害な生物が混入する可能性、質の悪いライブロックによる水質への悪影響などがあります。

後者は海中で養生をしていない岩です。当然生物は何も住んでいないので、生物による濾過作用は使用当初は全くありません。その反面、有害な生物の持ち込みがあり得ないことや、好みの岩を比較的自由に選択できることが利点となります。

以下の記事もその違いについて記載しています👇

接着剤関連

接着剤は上記の岩を組んでレイアウトを作る際に用います。接着剤なしで組むことも可能ではありますが、接着剤を用いた方がレイアウトの幅は広がります。色んなタイプがありますがおすすめを紹介いたします。

この接着剤は液状の接着剤と綿状の補助剤の組み合わせになります。液剤単独でも固まりますが、時間がかかりますし、まして岩同士のゴツゴツに対して液で接着させるのは至難の業です。そこで威力を発揮するのが綿状補助剤です。この補助剤は液剤がかかると10秒程度で一気に硬化し、その強度はかなり強力です。また、綿状補助剤はゴツゴツとした岩同士の設置面をかなり増やしくれます。拳以上の大きさの岩同士を接着させる場合でも、補助剤を用いて3箇所ほど接着すれば、ほぼ接着は完了してしまいます。ただし、いくつもの岩組を組んでいくと流石に強度に不安が出てきますので、もう一つの接着剤でさらに頑強にします。その接着剤がこちらです👇

こちらは接着剤というよりは、その名の通りセメントです。中身は粉末状のセメント剤が入っており、これを水に溶かして使用します。水に溶かすと粘土状に変化しますので、任意の場所に塗り固めていきます。硬化時間はかなり早く、1分以内に修正の効かないほどに硬化します。ゴツゴツした岩の接着では、隙間にセメントが入り込んだり接触点の周りを包むように固めることができるので、硬化後はかなりの強度で固定が可能です。ただし、硬化途中に動いてしまうと亀裂が入って非常に脆くなり、下手をすると接着すらできなくなるので注意が必要です。そこで大事になるのがカミハタの接着剤です。こちらで仮固定をすれば、セメントが硬化する間に動くリスクはほぼなく無くなります。

水槽の立ち上げ

イメージを固め、飼育する生体や水槽のサイズが決まれば、上記の機材から必要な物を揃えます。

ただし、機材を設置しレイアウトと海水を入れれば生体が飼えるかというと、そうは簡単には進みません💦

まずは『水槽の立ち上げ』と呼ばれる工程を完了しなければ本格的な飼育は出来ないのです🙅‍♂️

立ち上がるとは

水槽が立ち上がるとは、生体が住んでも水質が安定する状態を指します。生体を飼育し始めると、食べ残しや排泄物などで水槽内は徐々に汚れてきます。この汚れを除去するために濾過がありますが、中でも生物濾過は濾過の要と言っても過言ではありません。濾過がしっかり機能していないと、当然ですが水質は安定しません。しかし、この生物濾過がしっかりと機能するまでにある程度の時間が必要です。生物濾過がしっかりと機能して水質が安定して始めて水槽が立ち上がったと表現します。

立ち上げの手順

水槽と機材の設置

まずは水槽を配置し、機材を設置していきます。水槽はオーバーフロー水槽だと幅45㎝でも動かすのはかなり大変です。しっかりと吟味した上で配置しましょう。機材も予め洗浄するなど汚れを落としてから配置していきます。配管系統は水漏れが起こらないように入念にチェックが必要です。自信がない場合はショップにお願いするのも一案です。

底砂を敷く

底砂を使う場合は海水よりも先に砂を入れます。バクテリアが住んでいるタイプの砂は洗いませんが、それ以外の砂は洗ってから入れます。水道水で洗って構わないと思いますが、より生体に良い方法は、仕上げは海水で洗うと良いです。なお、バクテリア付きの砂を使用すれば、水槽の立ち上がりを早める効果があります。

海水を入れる

砂の次はいよいよ海水です。最初は水道水で作ることが殆どだと思いますが、カルキ抜きは忘れずに⚠️

比重は1.023程度、水温は24度程度に合わせておくと良いです。海水ができたら、ゆっくりと水槽に注いでいきます。この際になるべく底砂が舞わないいようにしましょう。砂の上にビニールなどを置くと、舞うのが幾分か防止されます。岩を後から入れる場合は、7分目くらいでとどめ、岩を入れてから改めて注水を再開すれば溢れることはないです。オーバーフロー水槽の場合は濾過槽に落ちていく水が漏れないかもチェックしながら進めましょう。

ここで天然海水(アクアリウム用に市販されているものが推奨)を使えば立ち上がりに優位です。

岩の配置

ライブロックの場合はこのタイミングで岩を入れると岩に生着する生体に良いかと思います。人工ライブロックであれば、底砂を敷く段階でも良いかと思います。岩組は水槽の骨格部分となるので、思い描いたイメージをもとにレイアウトを組みます。良質なライブロックを使用していれば、水槽の立ち上がりをかなり優位に進めることができます。

メインポンプ、濾過系統、水流ポンプ、温度管理系統の電源を入れ、バクテリア剤を投入

上記機材の電源を入れ、各種機材が正しく作動し、水が循環できているかを確認します。問題なければ、立ち上げをスムーズに進行させるためにバクテリア剤を入れます。

一定時間待つ

水が循環し出したら、生物濾過が完成するまで待ちます。立ち上げの際にどれだけ天然成分(ライブロック、ライブサンド、天然海水など)を使ったかによって立ち上がりの速度は変わります。通常は1〜2週間は必要となります。準備しておいた測定キットでアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩を主にチェックします。ライブロックが入っていれば、そこに息づく生体により、アンモニアなどが発生し出すはずです。生物濾過が機能すれば、アンモニアと亜硝酸塩は分解されほぼ0となり、硝酸塩が上昇します。ここまで来ればある程度立ち上がった状態といえ、硝酸塩は1桁台とリン酸塩は0.02以下程度を目標に換水によって減らします。

生体の導入

ここからはいよいよ飼育生体の投入になります。ただし、ここでもいきなり何匹も魚を入れるのではなく、テスト的に1匹だけ入れます。この魚を「パイロット・フィッシュ」と呼びます。要は、本当に水槽が立ち上がっているか確認作業を魚を実際に入れて生存するか観察するのです。

魚を購入する場合は直接ショップで購入して持ち帰るか通販するかになるかと思います。持ち帰る場合は、移動時間の水温変化に配慮する必要があります。

水合わせ

魚や甲殻類などの生体は購入したものをそのままドボンと水槽に入れてはいけません🙅‍♂️ それをすると水質の違いによりショック状態となり、最悪の場合は死んでしまいます💦 これを避ける為に『水合わせ』という工程を行います。ショップの飼育水から自宅の飼育水にゆっくりと時間をかけて順応させていく作業です。これによりショックを予防します。

海水生体の場合、ショックを誘発する要因は『水温の変化』『pHの急激な変化』『比重の急激な変化』が代表的です。

よく目にする手順は以下のようなものかと思います。

準備

バケツと細めのチューブ、エアレーション、魚を掬うカップなどを準備します。

水温合わせ

まず始めに水温を合わせます。買って来たお魚を袋ごと水槽に浮かべて放置します。30分もすれば飼育水と同じ温度になってくれると思います。

水合わせ

魚をショップの水2~3Lと共にバケツに移しエアレーションを開始します。メイン水槽からサイフォンの原理でバケツ内に水を移し始めます。この際チューブが太いと水の勢いが早くなるので、細いチューブにするか、コックやクレンメで水の勢いを抑えます。

生体を水槽に移す

生体を移す際は網で掬って移す方法とカップで掬って移す方法があるかと思います。網だと水を極力水槽に入れなくて済むので、ショップの水に含まれるかも知れない良からぬものを極力減らせますが、生体には少し負荷がありそうです。カップはその逆です。

雑誌などでも紹介されている方法であり、この手順で私自身は大きく失敗した経験はありません。ただし、実はこの手順はかなり簡略化されたものであり、その分リスクも高くなります。また、この方法では病気の持ち込みを予防する事は出来ませんし、餌付けなどは配慮されていません。諸先輩方の助言や記事を参考に、より完璧な方法も併記させていただきます✍️ この方法では病気の検疫も兼ねるので、1~2週間はバケツなどの容器内で購入生体を飼育していくことになります。

ショップの飼育水の状態確認

まず始めは、購入した生体がまさに入っている海水のチェックからです。主に『pH』、『比重』を確認し、表面に傷や寄生虫など無いか生体の様子もしっかりと観察します。

準備物品

バケツなどの容器(15L以上が推奨)、ヒーター、エアレーション、検疫用の人工海水、各種治療薬、各種餌など。機材やバケツは効率を考えると2セットあると便利です。

検疫用飼育水の作成

ショップ飼育水の水温、比重に合わせた人工海水を作り、生体を移します。

しばらくバケツ飼育になるので、気温が自宅の飼育水温よりも高い場合は、家のクーラーなどで水温の上昇をコントロールする必要が出てきます。もちろん、小型の水槽用クーラーがあるならそれで問題ないです。

慣らし飼育

作成した飼育水内に生体を移し替えて、検疫と水合わせ、餌付けをじっくり行います。期間はおおよそ1~2週間です。これだけの期間があれば、何かしらの感染症/病気になっていても発見と治療が可能となるためです。

水温、比重がご自身の飼育水と異なれば、比重は0.01/日、水温は1度/日までの変化で徐々に調整を行います。バケツ飼育になると濾過はできませんので、水は毎日〜1日おきに全交換となります。交換の際には感染対策のために、容器や機材はしっかり洗います。このため、2セットあると便利です。

上記の工程を行った上で立ち上げた水槽に入れます。

パイロット・フィッシュを入れて、特に問題が起きなければ、晴れて他の生体導入を解禁します🙆‍♂️ ただし、いきなり大量の生体は入れずに、少しづつ増やしていく事をおすすめします。

メンテナンスの基本

生体の導入も無事に済めば、あとは日々メンテナンスを行いながら飼育を楽しみます。飼育個体の育成を楽しむも良し、新たに機材や個体を導入したりしてより良い水景を目指すも良しです。

ただ、楽しむ為には日々のメンテナンスが欠かせません。メンテナンスをきちんと行わないと、生体の調子が崩れたり、苔が増えたりなどしてしまいます。マメなお手入れを行って綺麗な水槽を作り上げていきましょう。

給餌

飼育している生体へは定期的な給餌が必要です。魚には魚用、サンゴにはサンゴ用の餌が販売されていますので、飼育している生体に応じて餌を用意し与えてください。

魚の餌は分かりやすいと思いますが、サンゴの餌と言われると初心者の方は戸惑うと思います。サンゴは光合成を利用すると共に、水中の微細な生物を捕らえて食べています。特にLPSや陰日性のサンゴは捕食による栄養補給が大事です。我が家での給餌方法について記事がありますので参考になればと思います。

掃除

生体を飼育していると、濾過がしっかりと機能していても汚れが出てきます。特に目立つには水槽ガラス面に出現する苔や石灰藻です。これらは定期的に掃除をしないと鑑賞面で問題となります。毎回水槽に手を入れて掃除するのは大変かつ、水質汚染のリスクもあるので、掃除道具を持っておく事をお勧めします。

こちらはマグネット式のクリーナー兼スクレーパーです。値段は高いですが、他の安物を購入して結局ダメでこれに行きつくパターンが多いです。それほど優秀なクリーナーなので、ガラス水槽の場合はこの商品がとてもオススメかと思います。ただし、アクリル水槽の場合は強力過ぎて傷を付ける可能性があるので要検討かと思います。

ガラス面のコケは自分で掃除出来ますが、岩や砂の上のコケは自分では中々大変です。こういった場所はマガキガイやヤドカリといった『お掃除部隊』に任せると良いです🙆‍♂️

機材やフィルター類の掃除も大切です。特にメイン水槽内にある機材やフィルターはコケやデトリタスと呼ばれるゴミなどで汚れやすいので、定期的にお手入れが必要となります。

換水

換水はアクアリウムを維持する上で最も重労働でかつ大切な作業となります。重労働であるが故に、換水無しで飼育するような特殊な飼育スタイルもありますが、一般的には週に1回、水量の10~20%程度が推奨されます。

換水の目的は主に2つで、「水中に溶け込む不要な成分(硝酸塩やリン酸塩など)の除去」「生体に必要な元素たちの補充」です。

一度に多量の交換をすると水質が急変してよくありませんが、例えば毎日10%ほど交換していれば、濾過性能が低くて添加剤が無い状態でも水質を安定させる事も不可能ではないです。それ程に換水は万能なのです。

観察/記録

生体の様子は出来るだけ毎日観察し記録(記憶)しましょう。地味な作業ですが、非常に大切です。これをやっておくだけで生体のちょっとした変化からリスクを認識し対処する事も可能です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!準備や日々のメンテナンスなど、中々大変そうに感じるかも知れませんが、それも1つの楽しみとなります。そして出来上がった水景は必ずやご自身を癒してくれる事と思います☺️

せっかく興味を持っていただいたこのアクアリウムの世界、一緒に堪能出来れば幸いです🌱