瓦版 第18号 「全ての色が正しく撮影できる調光設定を極めよう!」

今回はサンゴ撮影の際にコントロールとなる調光設定についての内容でした。

サンゴの撮影においては、それを照らす照明の設定、カメラの設定や更には出来上がった画質を調整する事で様々な色合いを見せてくれます。つまり、同じサンゴでも撮影環境が違うと全く別の色に見えたりするのです。個人的に『画』として楽しむ範疇で、照明から画質まで色々な設定を行って美しく表現するのは一つの楽しみかと思います。

ただし、販売目的などで目に見える状態を正確に人に伝えたりする場合は、撮影環境を伝えて再現性が得られるような撮影を行わなければいけません。また、自身のために撮影する場合でも、成長や色彩変化の記録などは一定の条件下で行わないと記録にならないこともしばしばあります。

演色性

今回の瓦版では『演色性』という言葉が出てきましたので少し深掘りしておきます。

演色性とは、ある光源がある物体を照らしたときに、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質のことを指します。。一般的に太陽光を基準として、これに近いものほど良く、かけ離れたものほど悪いと判断されます。言い換えると、太陽光が当たったときの物体の見え方がどの程度再現できているか表す言葉です。

その評価には『平均演色評価数(以降はRa:average of Rendering indexと記載)』と呼ばれるものが基準として使用されています。演色評価数とは、ある色票を照らした時に、太陽光での見え方とのズレを0~100で評価した数値です。100に近い方がズレはないと評価します。この評価を8つの決められた色票を用いて各々評価し、得られた数値を平均したものがRaです。すなわちRa100ならば、自然光が当たったときと同様の色を再現していることを意味します。

これを踏まえた上で瓦版を見てみますと、単なる白素子だと波長不足でRaは75程度となっています。特にUV域の欠落は蛍光色の発現をかなり損なう可能性があります。この為、白照明と言ってもRa100に近い白照明に意識的に設定する事がサンゴの色をより正確に評価する為に重要と言えます🙆‍♂️

SPECTRAの場合は、水深0m設定でRa95と極めて高い演色性が得られます。

『水深4m設定 = SH4』

ただし、他の照明がSPECTRAのような演色性を出すことは事実上困難です。これは水中では太陽光スペクトルも変化しますので、各社それに合わせて設計している為でもあります。そうなるとSPECTRAも他の照明でも設定可能なスペクトルで、なおかつ水中での演色性を高く再現できる設定が分かれば、太陽光下の水中における実際のサンゴの色彩を表現でき、かつ皆でそれを共有する事が可能となります。

そこで、多くの照明がある程度設定可能な水深4m付近の太陽光が紹介されており、これが『水深4m設定 = SH4』です。

各社LEDでの設定が紹介されていますので、日々の記録や、他のアクアリストさんのサンゴと比較する時などに利用してみると良さそうです😊