今回はサンゴの産卵やその後について紹介されていました。
サンゴはどうやって子孫を残すのか
多くのサンゴは瓦版でも紹介されているように、年に一度の産卵を行います。この際に受精した卵子がやがてプラヌラ幼生となり、無事に着底することができれば一つのポリプとなります。一つのポリプは今度は無性生殖で増殖し群体を形成していきます。つまり、サンゴは有性生殖と無性生殖の両方の方法で種を維持しているのです。
サンゴは不思議なことに1年に一度、見事に時を合わせて様々な種類が産卵を行います。このメカニズムはまだ完全には解明されておらず、月の満ち欠け、潮の状態、水温など様々な条件が誘因ではないかと考察されています。
一斉に産卵するのにはいくつか理由があります。まず、産卵が多ければ、卵子と精子の出会う確率が単純に上がります。また、瓦版にも詳細に説明されていますが、同じ個体の精子と卵子は受精ができないそうです。自家受精が可能なら、DNA的に無性生殖と大差がありませんし、種の多様性を維持する役割としても大きな意味があると言えますね。ちなみにバンドルは水に浮いて水面に上がって弾けます。これも受精場所を水面付近に限定することで受精機会を増やす一つの工夫だと考えられ、生命の仕組みに感心させられます。
受精卵は細胞分裂を繰り返し、2日程度でサンゴの赤ちゃんである「プラヌラ幼生」になります。体長1〜2mm程度の大きさで、先端の少し太い円柱形の姿をしています。体の表面には繊毛を有しており、これを用いて泳ぎます。プラヌラ幼生は光に向かう習性と重力と反対に進む性質があるようで、これにより沈むことなくしばらく漂います。1週間ほどすると光と逆方向に進むように変化し、その結果着底します。着底の際は、石灰藻などのついた固い場所を好んで選ぶようです。無事に着底すると、変態してポリプとなり周囲に骨格を作り、無性生殖にて群体を作り始めます。こうして我々が目にする美しいサンゴへと成長します。