瓦版 第9号 「LEDは水槽の前面から鑑賞しても綺麗に見えないの?」

今回はLED照明の拡散性についての話題でした。

光の『拡散』

これまでは光の『波長』について重点的に解説されてきましたが、今回はLED素子(光源)が光を発した後の『拡散』に視点が置かれています。第6号でも少し出てきましたね💡

光は何もない真空中では直進するものですが、大気中では様々なものに影響されてその強さや進む方向などが多彩に変化します。そのうち『反射』や『屈折』を利用して光を拡散させます。

LED照明は素子から放出された光を適切な範囲に拡散させるように工夫されています。それが素子の周りに取り付けられたレンズであったりリフレクター(反射板)だったりです。ここの工夫がいまいちだと、光は狭い範囲にしか広がらず目標の上面や一部の側面しか光が十分に届きません。こうなると、横から見ると鑑賞する側面は影となって暗く、上面ばかり明るくて見た目が悪くなります。当然、サンゴの色揚げにも不利になります。

逆にSPECTRAのようにしっかりと工夫されていれば照射範囲が広がり、ガラス面などの反射も相乗されて側面や状況によっては底面までも光が届く事となります。結果として、鑑賞や色揚げにも有利に働くのです🙆‍♂️

raika

このため、レンズやリフレクターへ力を入れているか否かは照明選びの大事なポイントとなります。

マルチカラーシャドー

また、各色の素子の配置も重要な要素で、これが面として均等に配置されていないとマルチカラーシャドーが発生します。マルチカラーシャドーとは、ある色は届くけど他の色は届かないような事が起きた場合、全体の色が混ざった自然な色合いの中で、混ざりが不十分な場所が目立ってしまう状況を指します。

瓦版の上段右の図がマルチカラーシャドーの例です。青と赤の照明があり、全体としてはピンクに近い光となってます。しかし、球体の影を見てみると、青だけ届く場所と赤だけ届く場所が出来ており、これが全体のピンクとのコントラストで青の影と赤の影として目立ってしまっています。もし青照明の左隣に赤照明、赤照明の右隣に青照明があれば、これらの影は目立たなくなるという事になります💡

ディフューザー

私はRadion G5を使用しているので、Radionのディフューザーについて調べた事があるのですが、その目的は光をブレンドして均一化させることを目的としています。この際、光量の20〜30%が減衰してしまいます。内容的に、より広範囲に光を届ける効果も期待してしまうかもしれませんが、そうではなく、あくまで光を均一化させる事に特化しているようです。これによって、各色がより混ざり合ったマイルドな光となり、マルチカラーシャドーは軽減が期待できます。しかしながら、光の届く範囲に関してはむしろマイナス効果にもなりうるので注意が必要ですね。