瓦版 第21号 「サンゴに必要な光合成量とPPFD量はどう考える?」

今回はサンゴに必要な光量についての話題でした。

サンゴに必要な光合成量と測定されるPPFD量

今回の話では瓦版9号瓦版11号の内容を理解しておくと飲み込みやすいと思います。

サンゴはご存知の通り、褐虫藻が作る光合成エネルギーに大きく依存しています。群体として生きていくためには一定の光合成エネルギーが必要であり、それを推し測るためにPPFDが測定されます。ここで注意しないといけないのが、光量子計の測定範囲です。一般に我々アクアリストが使用しているApogeeの光量子計は、センサーに向かって入ってくる光量子を測定しています。つまり、サンゴ全体に当たる光量子を測定しているわけではありません。測定された事がある方なら分かると思いますが、通常はセンサーを真上に向けて測定します。これによって陥りやすいのが、『側面や底面側から入ってくる光量子量の環境による違い』を配慮しないことによる判断ミスです。

瓦版文中にもあるように、海中は拡散光が豊富であり、一般的な水槽環境に比べるとサンゴの側面や底面にもある程度の光量子が当たります。また、使用しているLEDの種類や設置している高さ、水槽底面の状態によっても側面や底面のPPFDは相違は大きいです。なので、厳密にはそういったことも配慮しつつライティングを調整しないといけません。特に照明などが大きく飼育環境の異なる相手の設定をそのまま自身の水槽の参考とする際などは注意が必要ですね🤔

太陽光とLED照明

瓦版の後半には太陽光とReefLED(Red sea)、SPECTRAの波長強度がグラフ化された図が示されています。光合成は光量子の『数』に依存して行われるので、限局した波長のみでその数を補うことは、理論的には可能ではないかと考えられます。

このグラフを見ると、ReefLEDはその典型で、ブルー光に特化する分、その他の波長強度は非常に乏しいです。必要なPPFDを出せるように、ブルー光の強度は太陽光よりも遥かに強い数値となっています。非常に尖った特性であり、色揚げなどではこれが吉となる場合もあるかも知れません。ただし、より多くの波長を自然に近い形で照射する方がサンゴには優しいのかなと思いますし、多様な蛍光/色素タンパクを発現させるには尖った設定では不足しているのではと感じます🤔