皆様お疲れ様です。
raikaです。
今日は胃癌検診で行われる胃部エックス線検査と胃内視鏡検査についてご説明しようと思います。
少し難しい名称で書きましたが、これは厚生労働省に準じた名称で、一般的には胃バリウム検査と胃カメラ検査と言えばイメージが湧きやすいのではないでしょうか?
胃癌検診で推奨されているこの検査ですが、皆様はどちらを選んでおられますか?
胃カメラはオエッとなるからバリウムにしてる💦
被曝が怖いから胃カメラを飲んでる💦
などなど、色々なご意見があると思います。どちらが良い検査かについては現時点では明示されていません。
今日はこの二つの検査について、各々の特徴を分かりやすく説明したいと思います。記事を読んでいただければ、両者の長所と短所を理解した上で検査を選ぶことができると思います。最後に、私ならどちらがおすすめするかについてもお話ししようと思います。
raika
胃バリウム検査
どのような検査?
バリウムと呼ばれる造影剤と発泡剤を内服した後にレントゲンを何枚も撮影して胃を調べる検査です。
バリウムはレントゲンで白く写る溶液です。発泡剤は文字通り胃内で発泡し、胃を膨らませる役割があります。
胃を風船に例えると、発泡剤で風船を膨らませて、その中にバリウムを入れて、ごろごろと風船を転がして風船の内側全体にバリウムを付着させ、その後にレントゲンで影絵のように風船の内部に付着したバリウムを透かし見るイメージです。
付着したバリウムは胃壁の形や動きに連動しますので、これを透かし見ることで胃の形や動きを評価して異常を探したり、癌や潰瘍、ポリープなどで生じる胃内部の凹凸を見つけることができます。
長所と短所は?
長所
一番のメリットは胃カメラを飲まずに検査できることではないでしょうか?後述しますが、胃カメラ検査では低確率ですが合併症があります。これらの合併症の心配をしなくていいのはメリットです。また、胃カメラを飲む際は嗚咽を伴いますので、これを回避できるのもメリットです。また、費用的には一般にバリウム検査の方が安価に受けることが可能です。
短所
上述の如く、バリウム検査はあくまで透かして見ているだけですので、検査の精度としては胃カメラに及ばず、小さな病変の発見は困難となります。また、胃カメラでは口から胃までの消化管も同時に検査を行うことが可能ですが、バリウムでは詳細な評価はこの部位では出来ません。さらに、バリウム検査で異常があった場合はほぼ確実に胃カメラを受ける事になりますので、コスト、時間の面で二度手間となってしまう可能性があります。
加えて、発泡剤を飲むと腹満感が強く、ゲップを我慢しながら検査台の上でゴロゴロと転がるのは中々の苦痛です。少量ながら放射線被曝があることや、バリウムの副作用として便秘などが存在することもデメリットとなります。
胃カメラ検査
どのような検査?
胃カメラ検査は、先端に小型カメラのついたホース状の機材を飲んで、カメラに映し出された画像をリアルタイムで確認しながら撮影する検査です。異物が喉を通り胃を観察しますので、嗚咽をできる限り軽減するために喉の感覚を鈍らせる麻酔処置を行います。麻酔処置後に横になって検査を行います。口から胃、場合によっては十二指腸の一部まで観察することが可能です。
長所と短所は?
長所
口から胃までの消化管を満遍なく観察する事が可能です。また、カメラ自体の精度が日々向上しているため、映し出される画像も精度が上がっています。より詳細に拡大して観察したり、特殊な光を当てて非常に細かな血管の変化まで観察する事も可能です。これにより、かなり早期の癌を発見することが可能です。
短所
ホース状の異物が喉を通る事により生じる嘔吐反射の苦痛が大きな欠点です。麻酔をしますが、人によっては反射が強くて、涙と涎を流しながら嗚咽に苦しむ方もいらっしゃいます。また、カメラによる物理的な接触で、消化管を傷つけてしまう事があり、出血や、まれに消化管に穴を開けたりなどの合併症が存在します。
結局どっちを受けるべき?
よく患者さんや知人から、どっちを受ければいいか聞かれます。
私個人としては上記のメリットやデメリットを踏まえて胃カメラをおすすめしています。
胃カメラの短所は検査機器の精度向上により改善しています。例えば経鼻内視鏡と呼ばれるかなり細い胃カメラでは嘔吐反射が軽減されますし、麻酔も状況によっては寝たような状態で検査をすることも可能です。合併症も頻度としては1%を大きく下回る確率ですので、気になるものではありません。
加えて、バリウム検査で異常が疑われた場合は、結局胃カメラを受ける事になりますし、純粋に検査としての精度は胃カメラが上であることは大きなアドバンテージだと考えるからです。
さて今回は胃癌検診で使用される胃バリウム検査と胃カメラ検査につてご説明しました。
検診を受けるにあたって、皆様の悩みが少しでも解決すれば幸いです。
ではまた!