水槽日記 陰日性サンゴの飼育🪸

皆様お疲れ様です🌱

raikaです。

9月は猛暑の煽りを受けて夏のような気候でしたが、10月に入り一気に涼しくなってきましたね😌 頑張ってくれたクーラー君には心の底からお疲れ様と伝えたいです🙏

さて、今回はサンゴの中でも飼育されることの珍しい陰日性サンゴの話題です。

我が家の水槽は何度かご紹介させていただいたようにMixed Reef、つまり色んな種類のサンゴを色々と工夫しながら共存させています。その中に、少数ではありますが陰日性サンゴも居ます。一般的に飼育難度は高いとされ、ショップでもあまり見かけない種類ですが、我が家ではなんとか長期飼育出来ているものもいます。そこで、今日は我が家で飼育している陰日性サンゴについて、どんな種類を飼育し、どのように管理しているかをご説明しようと思います✍️

陰日性サンゴ

サンゴの多くは褐虫藻と共生する事により、彼らが作る光合成エネルギーを利用する事が出来ます。このようなサンゴを俗に『好日性サンゴ』と呼び、彼らは『光』と『捕食』の2つの手段で栄養を得る事が可能です。

これに対して『陰日性サンゴ』とは、褐虫藻を持たないサンゴを指します。光の届かない深場や岩陰に主に生息し、当然ですが、光合成を利用する事は出来ません。この為、彼らはもっぱら『捕食』でのみ栄養を得る事になります。ダイビングしていると、岩影などにたくさん生息しているのを簡単に観察することができます。

パラオにて撮影

また、見た目についても特徴的です。光合成を必要としない、つまり光のないところに生息する事が多いので、好日性サンゴのような、ギラギラした蛍光蛋白を有する種類は私の知る限りではいないように思います。その代わり色素蛋白が豊かで、写真のサンゴのように好日性サンゴにはない色合いを見せてくれます。

このように好日性サンゴと大きく異なる陰日性サンゴですが、一般には飼育難度は難しいとされます。その理由として多いのは給餌の問題です。光から栄養を得ることが出来ませんので、人為的に餌を潤沢に与える必要が出てくるのですが、これが手技的に難しかったり、水を汚したりなどします。また、そもそも生息している環境は深場や日陰が多く、好日性サンゴも一緒に飼育するとなると、環境が大きく異なる事が原因で維持が困難となりやすいです。

我が家で飼育している陰日性サンゴ

さて、そんな陰日性サンゴですが、我が家では3種類ほど飼育経験があります。

調子の良いものもあれば、大きく失敗したものもあります💦

イソバナ Melithaea flabellifera

昨年の9月にシュリンプさんからお迎えした陰日性サンゴです。八放サンゴ亜綱ヤギ目イソバナ科に含まれるサンゴで、陰日性サンゴの中でも細かなポリプを持ちます。

暖色系の色素蛋白が非常に綺麗で、黄色、オレンジ、ピンク、赤の個体をお迎えしていました。白照明では特に美しく、水景にいい雰囲気を加えてくれていたました。ただ、こちらの個体は、お迎え後に我が家を襲った苔の大襲来→白点病治療などの厄災の過程でかなり衰退してしまいました😓

ヤギ Echinogorgia sp.

イソバナよりは少しポリプは大きいタイプの陰日性サンゴです。有難いことに、イソバナをお迎えした際におまけで付けて頂きました。

こちらも色素が非常に強く、濃い紫色の個体です。

イソバナよりもポリプが大きく且つ沢山で、そのせいもあってか厄災も見事に乗り切ってくれました✌️ 我が家の陰日性サンゴの中では最も丈夫で元気に成長してくれています。

トゲナシヤギ Acalycigorgia inermis

こちらは昨年の12月にREEFTRIGGERさんからお迎えした個体です。

ポリプはヤギと同じくらいの大きさですが、数は少し少ないタイプです。茶色の軸に青いポリプが咲き、満開になるとまるで青い桜のような姿が本当に美しいです。

入海当初は軸も綺麗でしたが、このポリプのない軸がコケに弱く、ここにまばらに苔が付着してしまいす。幸い、イソバナのような大ダメージはなく経過してくれていますが、いまだにコケが付き、これを我が家のハギ軍団が突くので、たまに枝が折られてしまいます💦

我が家での管理方法

次はこれら陰日性サンゴの我が家での飼育方法についてご説明していきます。ここに書く方法は必ずしも正解かどうかは分かりませんが、少なくともこの方法で上記サンゴ達は我が家で維持できていますので、皆様の飼育の参考程度になればと思います。

raika
raika

我が家は陰日性サンゴのために特化した水槽ではありません。その前提で、どのように工夫するかと言う視点で読んで頂ければ幸いです🙏

また、上記の種類に限った話ですので、LPSタイプの陰日性等についてはこの限りではないと思います🙏

配置場所

配置場所で気を付けている事はシンプルで、『可能な限り光の当たらないところ』です。

我が家の水槽ではミドリイシを飼育していますので、ミドリイシゾーンには最大でPAR500程度の強い光量が注ぐ環境です。陰日性サンゴは光のない環境で生息するので、これは全く『あべこべ』の環境となります。とは言え、陰日性サンゴで強光障害と言うのは見聞きしませんし、それなりの光量下でも生息は可能なようです。ただし、明るい場所での飼育では大きな問題が生じます。それは『陰日性サンゴへの藻類の付着』です。

好日性サンゴは褐虫藻と共生しますが、当然他の藻類とは共生しません。サンゴを飼育していると容易に観察出来ますが、元気なサンゴはその表面を共肉や粘液でしっかりと覆っています。これには色々と役割があると思いますが、我々の皮膚と同様に他の生物から身を守る役目もあります。実際に、岩組やガラス面に藻類がびっしり付くような環境でも、元気なサンゴであればサンゴに藻類が付着することはあまりないかと思います。逆に、弱って共肉や粘液の減少したサンゴには容易に他の藻類が付着し、これによりサンゴの衰退に拍車がかかるといった苦い経験もあるのではないでしょうか。

ところが陰日性サンゴはと言うと、光量が少なく藻類が光合成しにくい場所でも、サンゴ自体に苔が生えだすことがよくあります。彼らが生息する環境は、そもそも光がかなり届きにくいので、藻類は繁栄しづらい環境です。こうなると、陰日性サンゴは藻類への対策が不要となり、その抵抗性が低くなっていることが原因ではないかと推測出来ます。苔が全体に付着すれば当然サンゴは弱りますので、我が家の場合はこれが原因で不調となることがほとんどです。

以上から、『藻類の成長を抑制する為』に光が極力当たらない場所に配置することは重要な項目となります。我が家の場合は岩組の下などの影になる部分を利用して配置しています。

ただし、この際気をつけるべきは水流です。我が家で飼育しているようなポリプの小さな陰日性サンゴは流れているプランクトンなどを基本的には捕食しています。このため、ある程度しっかりした水流がないと餌がそもそも流れてきません。岩陰に配置すると、水流まで遮断しがちですが、そうならないように工夫するのは一つのポイントかと思います。

給餌

我が家の陰日性サンゴは上記のようにどれもポリプが小さいタイプになります。このようなタイプの場合、液体や粉末タイプの餌を与えますが、そのために水流を止めて個別に吹きかける方法なども目にします。そもそもちゃんと食べているか分かりにくいのと、給餌しないと生きていけないので、その確実性を重んじた方法ではあるのですが、これだと中々に面倒です💦 きめ細かなメンテナンスは大事ですが、極力シンプルかつ簡便にしておく事も長期飼育のコツと考えているので、私は少しづつこの方法を簡便化させました。

今では、毎朝の添加剤投与及び魚への給餌の際に、サンゴへの給餌を一緒に行っています。手順としては以下の通りです。

まず朝の給餌ですが、毎朝サンゴへのアミノ酸やビタミンなどの添加の際に以下の液体サンゴフードを一緒に投与しています。

easy reefsから販売されている植物性/動物性プランクトンを原料としたサンゴフードです。我が家では400Lに対して各2mlづつを毎日添加しています。本来はメインポンプを止めてからの添加がより効率が良いと思いますが、朝の忙しい時間なので、そのまま添加しています💦

次に魚の給餌の際の手順です。

  1. 餌の準備
  2. メインポンプの停止
  3. 餌をばら撒く
  4. 15分〜30分ほど放置
  5. メインポンプ再開

餌は、良いのか悪いのか不明ですが、魚の餌もサンゴの餌も一緒に混ぜています。時間は仕事から帰宅してから寝る前の間に行っています。

ここで使用するサンゴフードはREEF-ROIDSがメインです。

魚の餌にこのREEF-ROIDSを魚の餌用の小さなスプーンに半分くらいの量を混ぜます。また、それだけでは少ないので、今は同じく粉状餌のGONIOPOWERを同量混ぜています。ここでの給餌は時間が取れるので、メインポンプも止めてしっかり餌をキャッチしてもらいます(キャッチしているハズ…)。

お気づきかも知れませんが、この方法は陰日性にターゲットを絞ったものではなく、サンゴ全体に対する給餌になっています。陰日性サンゴの給餌は大変と言われていますが、この方法なら個人的には継続可能です🙆‍♂️

ただ、これだけで本当に栄養が足りているかどうかは実際のところ分かりません💦 私の場合だと1〜2ヶ月に1回の頻度で生きた動物性プランクトンを天然海水と共に添加しており、これにより飼育水内にある程度の微生物が浮遊してくれている可能性も大いにあります。そうなると、これは陰日性だけではないですが、サンゴにとって大きな栄養源になり得ます。自然界では潤沢な微生物を常に捕食する事が可能ですが、飼育水をしっかりと作り込み、自然界に近づける事も肝要なのだと考えます🧐

水質

水質に関しては硝酸塩を2~4ppm程度リン酸塩は0.02ppm前後を目標にコントロールしています。特に硝酸塩は給餌によって高くなる傾向にあります。高い硝酸塩は藻類の繁栄を助長しますが、苔は前述の通り陰日性サンゴの敵です。また他のサンゴへの配慮も含めて、あまり髙値とならないように、ろ過に関しては気を遣っています。

水温については、一般に陰日性サンゴは光の届かないところに住むため、通常のサンゴ飼育よりは低めが推奨されています。ただ、我が家では他の生体との兼ね合いもあり夏場は24度〜25度、冬場は22度〜23度程度で飼育しています。特に夏場は高めの水温になってしまっていますが、少なくとも我が家ではこれに伴う悪影響はない印象です。

raika
raika

採取された場所やサンゴの種類にも影響されると思いますので、購入時に尋ねられるのが無難かと思います。

最後に微生物達も含めたバランスの取れた生物多様性の確立も重要だと考えます。バランスの取れた状態であれば苔が大繁殖する事もなく、自ずと陰日性サンゴを苔から守る事に繋がります。

項目ごとに記載しましたが、1年ほど飼育して学んだことは、藻類が繁殖しにくい環境を作ることはこのタイプの陰日性サンゴ飼育には特に重要だということです。この環境が整っていれば、陰日性サンゴも比較的安定するのではと思います🤔

今回は陰日性サンゴについてご紹介しました。マイナーなサンゴではありますが、水景に添えることでとても良い雰囲気を作ってくれる事と思います。飼育には少し工夫が必要ですが、ここでご紹介した方法が参考になれば幸いです🌱

ではまた👋

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