水槽日記 『濾過システム』について考える🤔

皆様お疲れ様です🌱

raikaです。

最近は開業準備が何かと忙しく、めっきりブログの更新が遅れてしまい、楽しみにしていただいている方には申し訳ないです💦 ただ、アクアリウムは変わらず楽しんでおり、SNSで皆さんの様子なども拝見しています。そんな中で、濾過についての話題は重要な事であるが故によく見かけます。皆さんのコメントを拝見していると、ちょっと解釈が違うと感じたり、自分自身の理解に『?』が付く事など、色々と考えさせられるところがあります。

そこで今回は、様々な濾過方法を組み合わせた『濾過システム』について書こうと思います。

かなり前に濾過についてはまとめをしましたが、こちらは各種の濾過について個別にまとめたものでした。ただ、実際はそれらを組み合わせて水槽管理を行います。なので、今回はそこを深掘りしようと思います。具体例として、我が家の濾過システムを題材に『濾過』というものを出来るだけクリアカットに解説出来ればと思います。その上で、世にある『濾過システム』がどのような理由で構成されているのかなども考察出来ればと思います。

『濾過システム』

アクアリウムにおける濾過は、

『生態を飼育する過程で汚染される飼育水を浄化する事』

であり、生態が健常に生活出来る環境作りには必須の工程です。しかしながら、ここには生態の構成、機械の構成、日々の手入れ等、様々な事が影響する箇所でもあります。適当に構成したり理解が不十分であれば、日々の管理、調整、維持が困難となりやすいところでもあります。

raika
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各種濾過の詳細については以下の記事でもまとめていますので、もし良ければ参考にしてください。

この濾過にはいくつか種類がありますが、基本的には

  • 『物理濾過』
  • 『生物濾過』
  • 『化学濾過』

の3つに分類されます。ただし、これらの濾過を単独で用いても残念ながらアクアリウムは成立しません。ですので、これらを飼育生態に応じて組み合わせて『濾過システム』を構築する必要があります。濾過システムを構築するにあたって、何を用いてどのような配分で構成するかにより、各水槽の濾過性能は千差万別となりますが、それでは安定した飼育が困難となり趣味としても楽しめなくなります。そこで、有名な『ベルリンシステム』『強制濾過システム』『ナチュラルシステム』等の濾過システムが開発され、飼育生態に応じて一般的に用いられるようになっています。

システム構築の落とし穴⚠️

ここで皆様に質問ですが、皆様は濾過システムを構築する上で何がどの濾過を担当しているかしっかりと把握されていますでしょうか?

私個人の話をすると、アクアリウムを始めた頃はほとんど理解できていませんでした💦 ただ、飼育開始当初はシステム通りに機材やろ材を揃えて使えば、なんとなくうまく飼育できてしまうのです。ただし、いざ水槽の調子が悪くなるとリカバリーが効きません…。私はそうなった時に四苦八苦しながら自分で情報収集や勉強をし、こうやってブログにまとめたりしているうちに徐々に理解できるようになりました。

アクアリウムを始めた当初は、先人たちの知恵の詰まったシステムをショップ店員さんに言われるがまま組む事が多いと思うのですが、基本となる3つの濾過の理解が曖昧なままだと、私のように調子が崩れた時に自己修正が難しくなるのです。これはシステムが優秀であるが故の落とし穴なのかなと思います。

ですので、濾過システムを理解するために、システムを組んで終わりにするのではなく、それを構築する各々の濾過の特性をしっかり理解する事が日々の管理を行う上で非常に重要となるのです。

主な濾過システム

まず初めに、主な濾過システムの概要を記載します。ベルリンシステムは濾過以外の内容も含めて総称しているところもありますが、ここでは濾過に着目して説明します。

強制濾過システム

強制濾過システムとは濾過の大部分を生物濾過の一部に担わせるシステムです。強制濾過≒生物濾過と説明されている事も多々ありますが、今回の記事では基本となる濾過とシステムを別として扱うため、上記のような表現とさせていただきます。また、私個人の理解としては強制濾過≒生物濾過とは必ずしも言えないとも考えています。理由は以下の通りです。

生物濾過にもいくつか種類がありますが、強制濾過で利用するのは『硝化作用』が主であると私は理解しています。逆に言うと、生物濾過に含まれる『脱窒』や『リン酸塩の生物濾過』はこのシステムの主目的ではありません。ですので、『強制濾過≒硝化主体の濾過』であれば個人的には馴染みます。

さて、硝化作用はアンモニアや亜硝酸塩などの毒性の強い窒素化合物を毒性の低い硝酸塩にまで変換する作用で、硝化細菌が好気環境で行う反応となります。これを活発に行うためには、多孔質のろ材を水通りの良い場所に設置し、そこへ硝化細菌を定着させ、飼育水を循環させる必要があります。

raika
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確認は取れていませんが、上記のように硝化を強制的に行わせる事から『強制濾過』と呼んでいるのかなと思っています🤔

このための機材としては上部フィルターや外部式フィルターなどが代表的です。また、オーバーフロー水槽であれば、落水部や水の流れのある場所にろ材を敷き詰めることでも強制濾過システムを組む事が可能となります。構成はシンプルであり、システムを組むコストは比較的安価で済みますし、日々のメンテナンスも楽なのは良い点です。

このシステムでは硝化を活発に行わせることで、アンモニアや亜硝酸塩の除去能力は高いと言えますが、結果的に硝酸塩やリン酸塩は徐々に蓄積されてしまいます。これに対しては定期的な換水や吸着剤による化学濾過などを併用する事である程度の水質を保つ事が可能となります。

メンテナンスの注意⚠️

少し勘違いしやすい点ですが、このシステムでアンモニアや亜硝酸塩が検出される場合はろ材の追加で対応すれば良いですが、硝酸塩の蓄積に対してろ材を増やすのは誤りです。これだと、硝酸塩は減りはしませんし、下手をするとさらに硝化が促進されて硝酸塩は増加します。強制濾過で硝酸塩を減らしたければ換水が間違いのない手段です。

多くの給餌が必要な魚飼育や栄養塩に認容性の高いソフトコーラルなどの飼育においては、強制濾過システムは相性が良いと言えます。しかしながら、ハードコーラルなどのより清浄な水質を要求する生体を飼育する場合は、強制濾過システムでは十分な水質を得ることは難しくなってきます。

まとめ

・硝化を活発に行わせるシステム

・窒素化合物を硝酸塩にまで変換する能力が高い

・システムは比較的シンプルでコストも比較的安価

・硝酸塩やリン酸塩は徐々に蓄積するので定期的な換水が必要

・魚やソフトコーラルの飼育と相性が良い

ナチュラルシステム

ナチュラルシステムも濾過の大部分を生物濾過に担わせる濾過システムになります。この書き方ですと、強制濾過と似ているように感じると思いますが大きな違いがあります。それは、ナチュラルシステムでは『硝化』は強制濾過ほどには利用せず、その代わり『脱窒』はしっかりと利用する点です。

使用するろ材にも違いがあり、多孔質ろ材は基本的に用いませんので、これらを入れる上部フィルターや外部フィルターも使用しません。その代わりに、天然ライブロックやライブサンド等をバクテリアの住処(ろ材)として用います。この為、水景はその名の通り自然に近い見た目となります。

硝化はろ材に対する水の循環が必要となりますので、ライブロックやライブサンドの表面に水が循環するために水流ポンプは必須です。脱窒はライブロック内部やライブサンド深層の嫌気域で行われます。

結果として強制濾過システムでは残存する硝酸塩も、このシステムでは窒素まで変換して空気中に逃しますので、非常に清浄な水質を得ることが可能となります。

システムの要はライブロックやライブサンドなので、良質なものを得られるかが問題点ではありますが、その問題をクリアすれば管理はしやすいと考えられます。

万能な印象のナチュラルシステムですが、このシステムを成立させるためには大きな前提があります。それは極力給餌を抑える事です。そもそも硝化と脱窒できる能力はそこまで高くないので、その能力に見合った分の給餌しか出来ないのです。この事から、ナチュラルシステムは多数の魚を飼育するのには不向きと言えます。逆に、給餌が少しで低栄養塩環境を好むSPS飼育などとは相性が良いと言えます。

まとめ

・硝化と脱窒をバランスよく用いるシステム

・窒素化合物を窒素にまで変換する事で低栄養塩環境を作りやすい

・濾過能力は高く無いので、給餌量は極力控える必要がある

・多くのサンゴ、特にSPSの飼育と相性が良い

ベルリンシステム

ベルリンシステムは物理濾過、生物濾過、化学濾過の全てを組み合わせた濾過システムと言えます。ベースのシステムとしては前述のナチュラルシステムとなりますが、これにプロテインスキマーを組み合わせている点が大きな特徴と言えます。

プロテインスキマーはSPS飼育には必須の濾過器でありますが、その名の通り水槽内からタンパク質を取り除く機材です。簡単に言えば、窒素化合物やリン酸塩の元となる残り餌などの汚染物質を水槽から取り除いてくれます。これによる恩恵はかなり大きく、ナチュラルシステムの弱点であった濾過能力の低さをかなり補ってくれます

その結果、ある程度の魚を飼育しつつもSPSなどの水質にうるさいサンゴ飼育も可能となります。

いい事づくめのベルリンシステムですが、短所もあります。それは、機材等を揃えるためのコストです。プロテインスキマーはフィルター濾過装置に比べるとかなり高額な機材となります。加えて、機材が増えればそれだけメンテナンスする事も増えるのも短所と言えます。

まとめ

・全ての濾過を取り入れたシステム

・低栄養塩環境を作りつつも、ある程度の給餌にも耐えうる

・ある程度の魚を飼育しつつSPSも飼育が可能

・機材が高額、メンテナンスが増える

この他にも『モナコ式』や『DSBシステム』等もありますが、汎用される上記3つを紹介させて頂きました。

システムの組み方

濾過システムは前述したようにいくつか種類があり、それぞれに特徴があるのはなんとなく分かっていただけたかと思います。ただ、実際に利用する際は上記のシステム通りにやれば必ずしも上手く稼働するとは限りません。それは、飼育する生体の種類や各々の数、水槽のサイズなど飼育者によって水槽環境も千差万別だからです。

そこで、各種システムを理解した上で、システム内の濾過のバランスを調整したり、場合によってはオリジナルのシステムを組む必要が出てきます。

raika
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それでは、各々の濾過の役割を考えながら濾過システムを紐解いていこうと思います。

我が家の濾過システム

ここからは応用編となりますので、我が家の濾過システムを題材にまとめていこうと思います。我が家の濾過システムはシステム的には真新しいものでは全くありませんが、何がどういう役割で、どの程度の濾過を期待しているかなど、私の考え方含めて説明します。

我が家のシステムは『ベルリンシステム』を基本としつつ、これに少し自分なりの調整を加えたものです。

具体的にはライブロックとライブサンド、これにスキマーを加えたベルリンシステムに、少量の多孔質ろ材(強制濾過)を追加したハイブリッド的なシステムです。個人の感覚ですが、結構オーソドックスなタイプでは無いかと思います🤔

ベルリンシステム部分

まずはベースとなるベルリンシステム部分です。

ベースとなるナチュラル部分ですが、メイン水槽に岩組と底砂を設けてあり、これがある程度の『硝化』と『脱窒』を担ってくれます。

ちなみに岩組は擬岩を用いています。このため、水槽立ち上げ当初はライブロックによる濾過機能が無い状態で苦労しました。ただ、今となっては年単位で使用し熟成していますので、ライブロックと同等と考えています。底砂に関しては硫化水素の発生なども心配ですので、3cm程度の浅めに敷いています。

また、これに加えてサンプ水槽内にも天然ライブロックを入れています。こちらはそれ自体が生物濾過として機能することはもちろんですが、天然成分のメンテナンスの狙いもあります。

raika
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ちょっと分かりにくい表現なので補足しますね。

生物濾過の主体は微生物の活躍によるところが主体ですが、これらは多様な種類がバランスを取りながら併存しているそうです。ただ、そのバランスは単調に長く飼育していたり、何か水槽に異変があったりすると崩れてしまうこともあります。すると、それらが作る濾過機能も同時に崩れてしまいます。オールドタンクシンドロームの一因にもなっているという話を聞いたこともあります。そんなリスクを伴う微生物の管理ですが、ナチュラルシステムではそれらの管理はレイアウトにしっかりと組み込まれてしまっています。これだと、いざという時の天然成分のリバランスが難しくなります。ですので、天然成分を一部サンプに置いておいて、不定期に交換する事でリスクが多少なり低下してくれたらと考えています🤔

次にスキマーですが、こちらはmaxspectのAD-600を使用しています。うちの水量だともう少しパワーのあるものを選んでも良いのですが、先代の水槽から引き継いで使用しており、特に問題はなさそうです。一般的にはスキマーのパワーは余裕のある機種にする方が安心かと思います。

最後に化学濾過として吸着剤です。こちらはリン酸塩の除去を目的に鉄系やアルミナ系を適宜利用しています。

強制濾過部分

次いで、補足的に利用している強制濾過についてです。こちらはサンプ内で水の流れがしっかりした箇所にろ材を配置しています。使用しているろ材はmaxspectのnano-Tech Bio Sphereです。このろ材は嫌気層も形成可能と謳われていますが、中心に穴がありリング状の形態ですし、配置箇所的にもあくまで主体は硝化を目的としています。

補足で強制濾過を利用しているのは、魚がやや多めなのとサンゴへの給餌がそれなりですので、単純にアンモニアや亜硝酸塩濃度を早急に減らしたいのが一点です。また、最近はサンゴ飼育でも多少の栄養塩が検出される程度が望ましいとされていますので、わざと硝酸塩を作らせる目的もあります。

その他

基本的には上記のベルリンシステムに強制濾過を少々ミックスさせたシステムとなっていますが、微調整的に導入しているものがあります。それがリフジウムです。リフジウムは海藻を飼育して各種効果を狙うものですが、濾過においては海藻に栄養塩を消費してもらい硝酸塩やリン酸塩のいわば生物濾過を行ってもらいます。我が家の目的としては硝酸塩というよりはリン酸塩を多少なり除去してくれたらなと考えていますが、規模も僅かなのでその効果はお守り程度と考えています。

いかがでしたでしょうか?

今回は各種濾過を用いた濾過システムについてまとめてみました。少しややこしいところもありますが、しっかりと把握して調整できるようになると、水槽の管理はかなり楽になると思います。

この記事が何かのお役に立てれば幸いです🌱

ではまた👋

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