水槽日記 濾過のまとめ📝

皆様お疲れ様です🌱

raikaです。

今日はアクアリウムの基本的かつ重要項目である『濾過』について、自身の復習もかねて、これまで勉強してきた事をまとめておこうと思います。

(なにぶん独学ですので、変ことを書いていれば遠慮なくご指摘ください🙏)

経験のある方にとってはご存知の内容がほとんどかも知れませんが、ご興味あれば読んでみてください🌱

濾過とは

raika
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そもそも『濾過』とは何なのか?

言葉の定義としては、

『液体や気体に個体が混ざった混合体と呼ばれる状態の物質を、多数の細かな穴を持った多孔質と呼ばれるもの(ろ材)に通して、その穴よりも大きな個体を液体や気体から分離する操作

となります。

ただし、アクアリウムにおける濾過は上記の定義よりさらに意味合いが拡大しており、ろ材以外にも様々なものを利用して、

『飼育水から不要な成分を除去する操作』

と考えると良いかと思います。

濾過がなぜ必要か

マリンアクアリウムでは魚やサンゴなどの海の生き物を飼育しますが、飼育過程で餌の残り、生体の排泄物など様々なものが蓄積し、後に生体にとって有害となります。これらを除去し、アクアリウムを安定化させるためには濾過は必須の工程となります。

アクアリウムで想定される有害な物質

前述のようにアクアリウムでは様々な有害物質が発生する可能性があります。ここでは主にどんな物質がそれに当たるかを見ていきます。

有害物質の誘因

まずは、そもそもどういった経路から有害な物質が侵入するかを考える必要があります。

代表格は「残り餌」「生体の排泄物/分泌物」「死骸」などです。これらの物質は時にさらに微細な生物の栄養にもなりながら徐々に代謝され、最終的には水槽にとって有害な物質になりえます。

また、「大気中に存在する物質の水槽への溶け込み」「水槽周囲で使用している機材類からの溶け込み」「水道水を介した侵入」「人間の手を介した侵入」など、非常に微細なことでも状況によって水槽は汚染されてしまいます。

栄養塩

有害な物質として最も代表的なものは栄養塩やその前段階の物質、つまり亜硝酸塩やアンモニアリン酸塩などです。これらの多くは前述した「残り餌」「生体の排泄物/分泌物」「死骸」などが元になって発生します。

栄養塩については下記記事でも詳細に記載しています👇

中でもアンモニアや亜硝酸塩、リン酸塩は一般的に毒性が強いとされています。

栄養塩はその名の通り、水槽に生きる多くの生体の栄養源にもなりますが、過剰に存在することで水槽に害をなします。このため、定期的に測定を行いながら至適な濃度に安定させることが大事です。通常、濾過を適切に行わなければ、栄養塩は必ずと言っていいほど有害なレベルまで上昇しますので、栄養塩のコントロールに濾過は必須です。

金属類

水道水や水槽周辺の機材などからは思いもよらぬものが飼育水に溶け込みます。それが金属類です。銅や亜鉛などの重金属類、アルミニウムなどの軽金属類などが代表的です。これらは海水中にもわずかに存在し、生体も利用していますが、一定値を超えると有害な影響を及ぼします。

その他の有害物質

有害物質の代表格は上記の通りですが、その他にもいくつか注意すべきものがあります。

植物や微生物による代謝で最終的に残るフミン酸は、飼育水の黄ばみの原因と言われています。また、室内で殺虫剤などを使用し、これが水槽に溶け込み飼育生体に悪影響が出るといった話もあります。

このように、水槽には様々な有害物質が侵入するため、これらを可能な限り除去するためのシステム作りが大切になります。

濾過の種類

濾過の必要性や想定される有害物質について見ていきましたが、ここからは具体的に濾過の仕組みを学んでいこうと思います。

濾過にはいくつか種類があり、それぞれに特色があります。アクアリウムでは複数の濾過方法を併用することで水質の維持を行います。なので、それぞれの特色を掴んだ上で、使いこなすことがアクアリウム上達の一つの鍵となるのです🔑

raika
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では早速、濾過の種類について見ていきましょう!

濾過は以下のごとく大きく3つに分類することができます。

  • 物理濾過:物理的に汚染物質を濾しとる。比較的大きなサイズの汚染物質の除去が主な目的
  • 化学濾過:化学反応を利用して汚染物質を吸着。物理濾過で除去しきれない微細な汚染物質の除去が主な目的
  • 生物濾過:微生物の代謝を利用して汚染物質を毒性の低い状態に変化。栄養塩の除去が主な目的

物理濾過

まず一つ目が、『物理濾過』です。文字通り、物理的に水槽内の汚染物質を濾(こ)しとる方法です。物理濾過で主に除去する汚染物質は餌の残りや生体の排泄物などが主体で、こういった比較的サイズの大きなものを除去することにより結果的に栄養塩などの発生を防止します。

フィルター

物理濾過の最も簡便かつ代表的な手法はフィルターです。水の通り道にフィルターを置き、汚染物質を絡め取ります。付着したゴミは定期的に掃除またはフィルター交換をする事により除去します。フィルターにはスポンジやウール、フェルト、不織布などの素材が使用されます。

メンテナンスの重要性

フィルターを長期間放置すると、そこに溜まった汚染物質からアンモニアが発生します。ゴミが引っかかってるからと安心せずに、せっかく絡め取ったゴミはきちんと水槽外に出しましょう。

定期的にフィルターのメンテナンスをする事が大事です☝️

フィルターの中には『ロールフィルター』と呼ばれるタイプがあります。最近の機材だと、フィルターの汚れを自動で感知し、巻き取り方式で新しいフィルターに自動で交換してくれます。コストは高くなりますが、メンテナンス性と濾過能力はかなり向上します。

プロテインスキマー

もう一つ代表的な物理濾過方法があり、それがプロテインスキマーです。

直訳すると、プロテイン→「タンパク質」、スキマー→「掬い取る」、となり、その名の通り飼育水中に存在するタンパク質などの微細なゴミを掬い取る機材です。その性質上、海水水槽に特化した特殊な物理濾過器となります。

プロテインスキマーは円筒状の本体に水中ポンプの力で飼育水を引き込み、同時にその内部で超微細な泡を発生させます。この泡は引き込まれた飼育水中のゴミや一部の有機物などのタンパク質(プロテイン)を付着させながら円筒上部まで上昇し、最終的にスキマーカップ(水槽外)に汚れを押し出します。このため、フィルターのよる濾過とは異なり、取った汚れは常に水槽外に追い出すことが可能となります。

濾過としての性能は非常に高く、清浄な水質を作る場合は必須の濾過方法となっています。

化学濾過

何らかの化学反応を用いて、目的の物質を吸着除去する方法です。物理濾過とは異なり、物理濾過では濾し取れない水に溶けた成分の除去を得意としています。

素材としては活性炭やゼオライト、アルミナ系吸着剤が代表的です。

素材によって吸着対象は様々で、一部の金属や薬剤など、物理濾過や生物濾過では除去できないような物質の濾過も可能だったりします。ただし、単独で大量の除去はできませんので、物理濾過や生物濾過の補助的役割として使用される事が多いです。また、吸着剤は吸着できる量に限りがありますので、定期的な交換が必要です。

生物濾過

これは細菌(バクテリア)古細菌(アーキア)を利用して、水槽内の有害物を分解させる手法です。

生物濾過が除去してくれるものは主に栄養塩やその前物質になり、マリンアクアリウムの濾過システムで最も重要な部分ではないかと思います。

窒素化合物の生物濾過

窒素を含む化合物を窒素化合物と呼びます。中でもアンモニア次いで亜硝酸塩は毒性が高いとされます。硝酸塩は高濃度であれば毒性があるとされますが、サンゴ等の生体に必要な成分でもあります。これらは主に餌の残りや生体の排泄物等から発生します。

窒素化合物を分解し、最終的に窒素として水槽外に放出する過程に、『硝化』『脱窒』があります。これらの工程はそれぞれ別の細菌が行なっています。

raika
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では、順に見ていきましょう。

まず初めに硝化ですが、硝化は「アンモニア→亜硝酸塩」、「亜硝酸塩→硝酸塩」の2段階工程で進みます。

アンモニアを亜硝酸塩に硝化する細菌はアンモニア硝化菌(ニトロソモナス属)です。これらの菌類はアンモニアを利用してエネルギーを合成しており、結果的に以下の化学式のごとくアンモニアを毒性の一段階低い亜硝酸に変化させてくれます。

2 (NH3) + 3O→ 2HNO2 + 2H2O

次に亜硝酸を分解してくれるのはニトロバクター属(亜硝酸硝化菌)です。彼らは以下の化学式のごとく亜硝酸塩を硝酸塩に変換してくれます。

2HNO2  +  O→ 2HNO3

これらのバクテリアの多くは物に付着して増殖します。加えて、前述の化学式に示したように、その反応にはO2(酸素)が必要です。よって、これらのバクテリアは水通りの良いフィルターや多孔質の岩、底砂の表層などに主に生息し、酸素を好む事から好気性細菌と呼ばれます

生成された硝酸塩は植物プランクトン等に消費されますが、残った硝酸塩が高濃度となると生体に害を成す可能性が出てきます。

そこで残った硝酸塩の除去が必要となり、これを行ってくれるのが脱窒菌と呼ばれる別のバクテリアです。

脱窒

脱窒とは窒素化合物を窒素に変換して待機中へ放散させる工程を指します。

このバクテリアは通性嫌気性細菌に属しており、通常は好気呼吸(酸素を使ったエネルギー合成)を行っていますが、周辺環境が嫌気層、すなわち酸素の届かない状況になると以下に示す嫌気呼吸で酸素なしでエネルギー合成を行うことが出来ます。

2NO2¯ +3H2 → N2 + 2OH¯ + 2H2O

2NO3¯ + 5H2 → N2 + 2OH¯ + 4H2O

これにより硝酸塩は最終的に窒素へと変換され、空気中に放出される事で水槽から除去されます。水槽内での嫌気環境は、少し厚めに敷いた底砂の下層、ライブロックなどの深部などが代表的ですが、嫌気環境も作れるろ材等もあります。

リン酸塩の生物濾過

水中では硝酸塩と同様にイオンとして存在する無機リンです。リンは生物の必須元素の一つで、生物を構成する要所に存在するため、水槽内では主に生物の死骸や残り餌などから発生し蓄積します。

リン酸塩は栄養塩として過剰となると藻類の大繁殖を招いたり、SPSに代表される造礁性サンゴに対しては、リン酸塩過剰は骨格形成の妨げになる事も分かっています。

リン酸塩の生物濾過に活躍するバクテリアはポリリン酸蓄積細菌が代表的です。この細菌は好気環境でリン酸塩をポリリン酸と呼ばれる物質に変換し、その体内に蓄積する事が可能です。ここで重要なのは、ポリリン酸蓄積細菌は脱窒菌のように窒素に変換して水槽外に放出するようなことは行わずに、あくまで体内にリン酸塩の化合物を蓄積するだけということです。加えて、このバクテリアは嫌気環境になると蓄積したポリリン酸をリン酸塩として排出します。このため、プロテインスキマーを用いて、蓄積後のバクテリアを水槽外に除去することで初めてリン酸塩の除去が行われます。

リフジウム

バクテリア以外にも栄養塩を除去してくれる生物がいます。それが植物プランクトンや海藻です。これらの生物は自身が成長、増殖する為に栄養塩を取り込みます。栄養塩が高いと苔の増殖が増える事を考えていただくと、少しイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

このため、飼育水の循環の一部に隔離された区画を作り、海藻などを育てる方法があります。これを『リフジウム』と呼びます。

その効果は飼育する海藻の量に依存しますが、リフジウム単体で十分量の栄養塩除去を達成するには相当な量が必要となり現実的ではありません。あくまで補助的と考えると良いかと思います。

今回は濾過について自身の学んだ事をまとめてみました。まだまだ深掘りできそうな部分も多く、今後も知識を深めて水質安定に繋げたいなと思います🔥

ではまた👋

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