皆様お疲れ様です。
raikaです。
医療従事者への接種が遅れる中、高齢者への接種が開始されます。
ワクチンの供給も本格化していく中、このワクチンに対して色々な疑問をお持ちの方も多いと思います。
mRNAワクチンって何?
どれくらいの効果があるの?
色々な疑問がある中、今回は接種による副反応に焦点を当てて解説をしていこうと思います。
厚生労働省も情報開示を行なっており、周知の内容もあるとは思います。それらの根拠となっている論文や、世界で先行して接種された報告なども参考に自身の知識のアップデートも兼ねて今回は記事にしていきます。なお、アナフィラキシーに関しては今回は含めていません。
ファイザー社の報告論文のおさらい
以前の記事で、ファイザー社の論文をご報告しました。
この内容から今回は副反応と有害事象の検討を抜粋して解説します。ワクチン接種者と偽薬接種者で各群約8000人の大規模比較検討です。
副反応グレード
- 軽度:活動を妨げない→緑
- 中程度:活動を妨げる→青
- 重度:日常の活動を妨げる→橙色
- グレード4:救急科の訪問または入院→赤
注射部位での副反応
こちらが結果となっています。上の図が16歳〜55歳の群、下の図が55歳以上の群の結果です。
ワクチン接種者では、注射部位の軽度から中等度の痛みが最も一般的に報告された局所反応でした。中でも1%未満が激しい痛みを報告しています。逆に発赤や腫脹は頻度は低いようです。
この論文では55歳以上と未満で年齢層を区切っていますが、55歳以上の方が若い参加者よりも痛みの報告頻度が低い結果でした。
局所反応の割合は、2回目で特に増加する事はなく、グレード4の局所反応の報告はありませんでした。
一般に、局所反応は多くが軽度から中等度であり、1〜2日以内に改善が得られています。
全身性の副反応
次に全身性副反応の図を見てみます。
最も一般的に報告された全身性副反応は、倦怠感と頭痛でしたが、偽薬接種者でも倦怠感と頭痛が一定数報告されていることには留意が必要です。その他としては発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛が優位にワクチン群で発生しています。発熱は、2回目接種後で若年群で16%、高齢群で11%報告されており、ほとんどが38度台までの発熱のようです。
初回投与後の重篤な全身性副反応の頻度は0.9%以下でした。
全身性副反応も注射部位の副反応と同じく、若い人でより頻繁に報告されています。違いとしては、全身性副反応は2回目接種後の方がより頻度が多かったようです。
これら全身性副反応は注射部位の副反応と同じく1〜2日以内に観察され、その後すぐに解消したと報告されています。
有害事象
ワクチン接種に関連する重篤な有害事象としては、ワクチン投与に関連する肩の損傷、右腋窩リンパ節腫脹、発作性心室性不整脈、右脚の知覚異常が報告されました。
また、ワクチンに関連する死亡はないと結論づけられました。
New Engl J Med. 2020;383:2603-15 Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine より引用
米国の報告
米国は日本よりも先行してワクチン接種が進められています。その中で副反応の報告が2021年4月にJAMAに掲載されました。
こちらがその表です。米国ではモデルナのワクチンも接種されていますので、分かりやすいようにファイザー社のワクチンを囲んでいます。
注射部位に副反応は1回目接種後:65.4%、2回目接種後:68.6%でした。また、全身性副反応は1回接種後:48.0%、2回目接種後:64.2%と報告されています 。
ワクチン投与後に最も頻繁に報告された局所および全身反応は、注射部位の痛み、倦怠感、頭痛、および筋肉痛でした。また全身性副反応では、2回目接種後の方が副反応の頻度が高い結果となりました。
JAMA. Published online April 5, 2021. doi:10.1001/jama.2021.5374
Reactogenicity Following Receipt of mRNA-Based COVID-19 Vaccines より引用
日本の報告
こちらは事前に国内で行われた臨床試験における副反応の結果です。
これまでの報告と同様に注射部位の痛みが最も頻度の高い副反応であり、全身性副反応に関しては2回目投与でより頻度が高まる結果でした。
厚生労働省より引用
以上、論文の報告と国内、米国の報告をまとめてみました。頻度に誤差はありますが、まとめると・・・
- 最も頻度の高い副反応は注射部位の疼痛(接種者の6〜8割)
- 全身性副反応では倦怠感、頭痛、関節/筋肉痛、悪寒、発熱が生じる可能性がある
- 全身性副反応では2回目接種後に特に副反応が出現しやすい
- 高齢者に比べて、若年者の方が副反応の頻度が高い傾向にある
- 入院を要するような副反応は非常に稀であるが、日常生活に支障をきたす程度の副反応は一定数発生する
- 注射部位及び全身性の副反応はほとんどが2日前後で自然軽快する
今回はファイザー社製のワクチンの副反応について解説しました。
接種回数が増えれば、更なる情報が出てくると思われます。今後の報告にも注意しながら、接種を受ける際の心構えをしていきたいところです。
ではまた。